3Dプリンターで家を建てるというニュースを見たことはありませんか？
建設現場では、かつて大工職人が図面を頼りに木材を加工していた時代から、現在ではプレカットされた木材を組み立てるスタイルに変わっています。このように、日常生活のあらゆる製品が、ますます機械の精密な技術に依存するようになっています。
この記事では、建設業界における3Dプリンターの可能性と実際の導入事例に焦点を当て、どのように役立つのかを紹介します。
3Dプリンター技術の進化と建設業界への影響
3Dプリンターと聞くと、何か巨大で複雑な機械を思い浮かべるかもしれませんが、その基本的な構造はインクジェットプリンターやXYプロッターと似ています。
ただし、プリンターの「印刷範囲」が立体的になった点が異なります。3Dプリンターは、樹脂やレジンなどの素材を用いて、設計したモデルを層ごとに積み重ねる「積層」技術を使って立体物を作り出します。
現段階では、大規模な3Dプリンターはまだ少ないものの、40センチ程度の中型サイズのプリンターであれば容易に手に入るようになりました。
特筆すべき点は、0.1mmの高精度で同一のものを複数製作できることです。
建設現場では、現場ごとに状況が異なるため完全に同じものを使うことは少ないですが、規格や寸法が統一化されているため、3Dプリンターの繰り返し生産や応用力が活きてきます。
建設現場での3Dプリンターの具体的な応用例
建設工事においては、3Dプリンターは大規模な建築物に限らず、多様な用途で活用されています。例えば、以下のような使い道があります。
型枠の作成
型枠は建設現場で頻繁に使われるアイテムですが、複雑な形状のものや一時的に必要なものは、3Dプリンターを使って簡単に作成できます。
プロトタイプや部材の製作
設計段階での確認用プロトタイプや、小型部材の試作に最適です。実物を迅速に確認できるため、プロジェクトの効率化に貢献します。
ツールや治具の作成
繰り返し使うツールや治具の作成も可能です。現場に合わせてカスタマイズできるため、精度や効率が向上します。
代替部品の製造
緊急時に部品が不足していても、3Dプリンターを使えば即座に代替部品を製造し、作業を続行することができます。
これにより、現場での作業を止めることなく、迅速な対応が可能になります。
特に、使い捨ての部品や、現場に合わせて柔軟に変える必要がある部材など、応用範囲は無限に広がっています。
3Dプリンターの種類
3Dプリンターには、主に2つの方式があります。
熱溶積層方式（FDM方式）
熱で素材を溶かし、層を重ねて造形する方式です。フィラメントと呼ばれる細い線状の素材を使用し、ABSやPLA、PETGなどの樹脂だけでなく、ナイロンやカーボン、金属など、使用可能な素材の種類は増え続けています。建設業では、強度が必要なパーツや耐久性が求められる場面で活用されています。
なお当サイトでは、３Dモデルの造作速度およびコストパフォーマンスの観点より
「QIDI TECH Q1 Pro」を使用しています。
光造形方式（SLA方式）
レジン液に光を当てて硬化させ、層ごとに立体物を形成します。細かいディテールを再現することに優れており、建設業界では、精密なプロトタイプの作成や、デザイン確認用のモデル製作に活用されることが多いです。
まとめ
3Dプリンターは、建設業界において生産性を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。規格化された部品やツールの迅速な製造、型枠やプロトタイプの作成により、現場の効率が格段に上がり、コスト削減や作業のスピードアップが期待できます。今後、3Dプリンター技術がさらに進化すれば、より大規模な建設物にも対応できる日が来るかもしれません。建設業界のデジタル化の一環として、今後の進展に注目が集まっています。
