土工事の掘削作業では、地下水や雨水が掘削した穴に溜まらないように排水作業を行います。
この時に最も一般的に使用されるのが「水中ポンプ」です。建設現場では、4インチ(吋)の水中ポンプが多く採用されています。
※河川工事など、より大規模な現場ではさらに大きな口径のポンプが使用されます。

積算・歩掛りでは、排水工「作業時排水」に用いられますね。
4インチって何センチ?
日本ではあまり使われない「インチ」表記ですが、センチメートルに換算するときは 2.54を掛けます。
4インチ × 2.54 = 10.16cm
現場で「4インチってどれくらい?」と聞かれたら、ぜひ物知り顔で「約10.16cmです」と答えてください。
※覚え方:「4インチはトイロ」W
4インチ水中ポンプの吐出し口径は?
答えは 50mm です。
建設現場でよく見かける青いホース(通称:サニーホース)も50mmです。
また、ホースのジョイント代わりとして、単管(JIS規格 φ48.6mm)がホース内部にそのまま差し込むことができます。
※ホースの周囲を番線や専用のクランプで固定するのが一般的です。
【補足】比較:一般家庭の水道管の径は13mm~20mm

ちなみに、一般家庭の水道管の多くは 13mm(屋内管)や20mm(屋外側・メーター側) です。
それと比較すると、4インチ水中ポンプの吐き出し径 50mm は、かなり大きい口径だと分かります。
つまり家庭の水道よりも 一度に運べる水量が圧倒的に多い ため、短時間で大量の排水が可能です。
建設現場で「4インチが標準」と言われる理由は、この排水能力が必要な場面が多いからです。

水中ポンプから吐き出す水の量が、ホースいっぱいの状態だと
凄まじい流量でして、浴槽ほどの水ならすぐになくなります。
水中ポンプの「全揚程」とは?
仕様書に記載されている「全揚程」とは、ポンプが水をどれだけ高い位置にくみ上げできるかを表した数値(m)です。

メーカーカタログなどに記載されている、カーブのかかったグラフが「全揚程」を表しています。
ツルミポンプのレビュー(短評)

- 建設現場でおなじみ&信頼性が高い
- 少量の土砂が混じった水でも吸い上げ可能
- 100Vコンセントで使用できるので特別な動力が不要
- 屋外使用に適している
水中ポンプ設置の“意外な落とし穴”(盗難)
4インチ水中ポンプは、軽量で持ち運びやすくパワーもあるため、建設現場以外にも農業・屋外作業でも便利です。
そのため、現場に設置している新品のポンプとホースが盗まれるケースが非常に多いです。

水中ポンプを誰かが片付けたと思ったら・・・
実は盗まれていたことが判明。
水中ポンプの「ドナドナ」ですね。
掘削作業が数日続く場合は、仮設電源を利用しっぱなしで排水を継続させますが、田舎・山中など人目の少ない場所だと特に盗難が起こりやすくなります。
水中ポンプは3~5万円ほどしますが、盗まれた翌日、穴に水が溜まってしまい排水作業だけで半日潰れることもあります。
水が溜まることで、掘削面が崩壊するなど危険性も増しますので、被害は非常に大きいです。
小さな犯罪だからと放置せず、盗難は必ず通報してください。
そして、盗まれない工夫・対策も現場管理のひとつです。



