建設の世界では、座標や角度、距離を数値化して正確に測量しますが、こうした考え方の原型は、実は古代の占星術や天体観測、そして円を中心とした幾何学にありました。
魔法陣と聞くと、儀式や召喚のようなファンタジー世界をイメージするかもしれません。しかし「円を基準に図形を描く」という行為は、古代の人々にとって“世界の秩序を可視化する方法”でもあり、現代の測量・CADに続く数学のルーツでもあります。
今回は、そんなファンタジーと数学が交わる、地面に描く「魔法陣作り」をテーマに、誰でも簡単に描ける方法を紹介します。
地面に魔法陣を描くときに必要なもの

魔法陣と聞くと、特別な儀式道具や難しい測量器が必要だと思いがちですが、実はとてもシンプルな道具だけで作れます。
- 木の棒 …円の中心に打ち込む“魔法陣の基点”
- ロープ …コンパスの代わり。棒に結んで半径を確定させる
- 長さを計れるスケール(メジャー) …いわゆるコンベックス
- チョーク or 粉 …地面にマーキングするための線引き道具
これだけで、古代の天文学者が星を読み解き、暦を作り、測量していたときと同じ“円の幾何学”が再現できます。
道具はホームセンターや100円ショップでも手に入るものばかり。
だから、これは誰でも試せる「現代に残る数学の儀式」。
さぁ、円を描いた瞬間から――
地面が計算のフィールドであり、魔法陣の祭壇に変わっていきます。
魔法陣の描画は自由ですが、公園や道路、公共の場にスプレーなどで消えない形で落書きをする行為はNGです。描く場合は自宅の敷地、許可のある私有地、砂浜、河川敷など、あとで消せる場所・素材を選びましょう。
チョークや粉のマーキングなら、雨で消えるから安心。
“儀式”は楽しく、スマートに。社会的マナーを守ってこそ、現代の魔法使いです。
予備知識:円に内接する正三角形の頂点(角)は「120度ずつ」開いている

円の中にぴったり納まる正三角形を描くとき、
三角形の3つの角は、円の中心からみると それぞれ120度ずつ 開いています。

円は中心点から360度、一定の長さでぐるっと回転した図形ですから
その角度を3等分すれば「円に内接する正三角形」のそれぞれの頂点の位置を設定できます。
360度(円全体) ÷ 3(頂点の数) = 120度
つまり、正三角形を円の中に収めるというのは
「円を3等分する」という考えと同じ意味になります。
ここを知っておくだけで、
- コンパスや測量機器がなくても
- 三角関数の計算ができなくても
「どこに三角形の点を置くか?」のイメージが理解しやすくなります。
正三角形の3つの角を決めるときの“魔法の数字”はルート3
円の中にきれいな正三角形を収める場合、本来なら
「3点の角度は中心からそれぞれ120度ずつ」
…という数学的な考えになります。
ここだけ聞くと、角度測定器やCADの計算が必要で、ちょっと難しそうに感じるかもしれません。
でも実際には、複雑な計算はまったく必要ありません。
なぜなら――
正三角形の1辺の長さは “ルート3” を使うだけで決まるからです。
半径1mの円に内接する正三角形の辺は 1.73m(√3)。
この番号だけ覚えればOK。

√3の覚え方は、ご存じの通り
「人並みにおごれや」ですね。
1点目を決めたら、そこからロープを 1.73m で動かし、円周と交わる2箇所を探す。
その2点こそ、三角形の残りの角になります。
つまり…
角度120°=難しい → √3=シンプル、に置き換えてしまう。
これこそ原始の“数学と魔法のリンク”の一番楽しいところです。
CADが誕生する遥か前、古代の天体観測・占星術の時代からこういった「円と三角形の関係」は人類の“秘密の暗号”として扱われていました。
だからこの魔法陣は、ただの図形ではなく
数学が魔術の領域へと変換される瞬間なんです。
半径1mの魔法陣(円+内接正三角形)の描き方

地面に魔法陣を描くときに、難しい道具は必要ありません。
木の棒とロープ、そして地面に線が引けるチョークやスプレーがあればOKです。
- 地面の好きな場所に、円の中心となる「木の棒」をまっすぐ立てます。
- ロープの先端を棒に結び、ロープの長さを「1m」に測ります。
- ロープ先端を持ったまま、ゆっくりと一周させれば、半径1mの円が綺麗に描けます。
→これが魔法陣のベースとなる「円」です。 - つぎに、円の中にピッタリ収まる「正三角形」を描きます。
正三角形の1辺の長さは「1.73m」です(※ルート3) - 円周上の好きな位置を、三角形の点の1つ目としてマーキングします。
- ロープの長さを1.73mの位置へ調整し、そこから円に接する2点を探します。(コンパスのように)
→その2点が、三角形の2つ目・3つ目の角となります。 - 3つの点が決まったら、それぞれの点を直線でつなげば「正三角形」が完成します。

描き終わったら、3辺の長さが等しいかチェックしてみて下さい。
全部1.73m(正確には1.732m)ならOKです。
魔法陣の大きさを2倍にしたらどうなる?
半径1mで魔法陣(正三角形)を描く方法が分かったら、次に気になるのは…
「じゃあ、半径2mにしたら三角形はどれくらい大きくなるの?」(直径4mの魔法陣)
多くの人が最初は、
“2倍より大きく見えるし 1.5倍くらいかな?いや、円が広がっているから2.5倍くらい?”
と、感覚で迷うところです。
実は答えはとてもシンプル。
円の半径が2倍になれば
内接する正三角形の辺の長さも2倍になる だけです。

円の半径が大きくなったことにより、円周率などが関係して計算が複雑になりそうな気がしますが、答えはいたってシンプルです。
1mの円のときの辺の長さは「1.73m(ルート3)」でした。
→これを2倍にするだけ。
2mの半径なら、三角形の辺長は 1.73 × 2 = 3.46m
むずかしい計算は一切不要。
“ルート3を覚えておく”だけで、魔法陣のスケールアップが自由になります。
- 一人で座禅する魔法陣
- 仲間全員で輪になる大型魔法陣
面白い視点として、半径1mの円に内接する正三角形の辺の長さは 約1.73m です。
これは日本人成人男性の平均身長にほぼ近い長さ。
地面に三角形の一辺を描くとき、自分の身長をイメージすると、距離感がつかみやすく、ロープや棒を使った作図の目安にもなります。身長感覚で距離を想像できると、実際の作業も少し楽しくなるかもしれません。

もし巻き尺やコンベックスが手元にない場合、
身の回りの人(自分や友達)の身長が1.732mなら……
ちょっと横になってもらってもOK!?(笑)
応用編:六芒星(ヘキサグラム)を使った魔法陣の例
六芒星(ヘキサグラム)は、古代から占星術、天体観測、錬金術などに象徴的な図形として扱われてきました。
2つの正三角形が重なることで、「天と地」「陽と陰」「物質と精神」などの対比・均衡を表す図形とも言われます。
現代の感覚では、ファンタジーゲームやカードゲームなどで魔法陣の中心図形としてよく登場します。
シンプルな幾何学形状でありながら、圧倒的に象徴性が強い理由は、数学的な美しさと、宗教・歴史・哲学にまたがる広い文脈を併せ持つからです。

360度の円を、6つに分けるのは感覚的に簡単に感じますね。
今回の解説でも「先ほどの正三角形を反転するだけ」です。
六芒星の魔法陣を地面に描く方法

(先ほどの正三角形の描き方の応用)
半径1mの円を描く
中心に棒を立て、ロープに1mの印をして回転するだけで円が完成します。
正三角形を1つ描く
円に内接する正三角形の辺の長さは ルート3(1.73m)。
ロープを1.73mに合わせ、三角形の3点を決めて線で結びます。
同じ正三角形を、もう一度描く
ただし、2つ目は 最初の三角形から60度だけずらして点の位置を決めます。
同じく1.73mで点を3か所とり直し、その3点を結ぶと、三角形が逆向きになります。

1つ目に描いた正三角形を、今度は逆さまに描くだけでOK!
位置を正確に測定するには、最初に描いた三角形の角から直角方向(辺の半分の位置、辺の長さが1.73mなら0.866mの延長線上)を割り出します。
まとめ:魔法陣を描くなら、ルート3
魔法陣と数学は、実は遠い存在ではありません。
古代の占星術や天体観測では、円と角度は世界の法則を知るための重要な鍵であり、それは現代の測量やCADに受け継がれています。
今回紹介した「円に内接する正三角形」は、学校で習ったルート3(√3 ≒ 1.732)の知識を活用することで、道具は棒とロープだけで誰でも描くことができます。
地面に描いた魔法陣は、ただの遊びではなく、古代から続く“数学で世界を可視化する行為”の再現とも言えるかもしれません。
【補足】円を等分した方角や風水・干支などの考えも
日本でも馴染みのある「風水」や「干支」も、実は円を12等分した方角の考えが使われています。
東西南北だけではなく、十二支の方角や相性なども、古代の天体観測・数学・暦が組み合わさって形成されてきた文化です。
もし今回の魔法陣の話で「幾何学や方角」への興味がわいたなら、こうした東洋系の思想・歴史を調べてみると、さらに理解が深まって面白いでしょう。
数学=理科の授業だけでは終わらず、魔法陣/風水/天体観測/測量/CAD
…すべて根っこでは「円をどう扱うか」に繋がっている。
そんな視点を少し持っておくだけで、建設関連の世界も、数学も、文化も、全部一本の線でつながり始めます。

で、何を召喚しますかね?

