土工事や擁壁工事の図面を見ると、
1:0.3
1:0.5
1:1
1:1.5
といった勾配表記を目にすることがあります。
建設業に関わり始めたばかりの人や、図面に慣れていない人にとっては、
「これってどれくらいの傾き?」
と疑問に感じることも多いのではないでしょうか。
この記事では、建設工事でよく使われる 勾配(法面勾配)の意味と計算方法を、できるだけ分かりやすく解説します。
勾配「1:○」の意味
建設図面に書かれている
1:0.5
といった表記は、
高さと横幅の比率を表しています。
基本的な考え方は次の通りです。
縦(高さ)を1
横方向の広がりを○
という意味になります。
つまり
高さが1m変化したとき、横方向にどれだけ広がるか
を示しています。

勾配の元となる数値を1で表しているため
「高低差:奥行き」の比率で表している点がややこしく感じるかもしれません。
基本となる「1:1勾配」
もっとも分かりやすい勾配が、1:1です。
これは
高さ1m
横1m
変化する勾配です。
断面図で見ると、きれいな三角形になります。
この勾配を角度で表すと、45度になります。
実際の現場ではかなり急な勾配で、盛土法面やオープンカット掘削などでよく使われます。
ちなみに道路の勾配は一般的に 2%程度なので、
1:1勾配は 約50%勾配という非常に急な斜面です。
垂直の壁(直壁)
勾配がまったくない場合は、垂直の壁になります。
図面では、1:0のような表記は通常しません。
これは単純に「直壁」として扱われます。
1:0.3勾配

1:0.3はかなり急な勾配です。
意味は
高さ1mに対して
横方向に 0.3m 広がる勾配です。
例
構造物の高さが 2m の場合
2m × 0.3 = 0.6m
根元は 0.6m広がることになります。
角度にすると
約73.3度
かなり急な傾斜になります。

ちなみに、1:0.3勾配で高さが0.5mだった場合
横幅は0.15m広がることになります。
主に次のような場所で使われます。
- 法面保護の側面
- 擁壁の背面
- 型枠構造
コンクリート型枠の Pコン なども
この 0.3分勾配に対応した製品があります。
1:0.5勾配

1:0.5は、現場でも比較的よく使われる勾配です。
高さ1mに対して
横方向に 0.5m 広がります。
角度は約63.4度になります。
主な用途は
- 土質条件の良い場所の掘削(暗渠掘削など)
- 護岸工事(間知ブロック積など)
- 重力式擁壁の側面
などです。
1:0.3よりも緩く、
計算もしやすい勾配です。

高さに対して幅は0.5倍ですから
計算しやすいですね。
1:1勾配(お待ちかねの)

改めて整理すると、1:1勾配は
高さ1m
横1m
つまり 45度の斜面になります。
用途としては
- 盛土法面
- 深い掘削
- オープンカット(掘削)
などがあります。
この勾配はかなり急なため、車両の走行は不可能で人が歩くのもやや大変なレベルの斜面です。
1:1.5勾配

1:1.5になると、斜面はかなり緩やかになります。
高さ1mに対して
横方向 1.5m
広がります。
角度にすると約33.7度、人が昇り降りしやすくなる斜面です。
例えば
- 築堤(河川敷の土手などをイメージすると分かりやすいでしょう)
- 法面整形(道路の路肩などに多い)
- 緩やかな斜面地形
などで使われます。
マウンテンバイクなどなら走行できそうな傾斜です。

重機が土を盛って作業を見かけたことがあると思いますが
適当にやっているのではなく、1:1~1:1.5の勾配で整形しています。
これが法面整形(のりめんせいけい)という作業です。
1:2勾配

1:2はかなり緩い勾配です。
高さ1mに対して
横方向 2m
広がります。
角度は
約26.6度
建設現場では「ゆるい法面」という印象になります。
ただし、この勾配がもし道路だった場合、かなり急な坂道になります。
用途としては
- 法面保護
- 堤防
- 安定した盛土
などです。
【おまけ:計算問題】ぴったり30度の勾配は1:〇?


さすがのAIも一度間違えた計算問題でして
tan30° ≒ 0.577 → 1:0.577を導き出しましたが・・おしい!
この表記でいう30度は、高さ1に対して横方向の比率を表しますから・・
ヒント:目安は上記の1:1.5の33.7°と1:2.0の26.6°の中間あたりになるはずです。(答えは記事の最後に記載していますので、チャレンジしたい方は一旦スクロールを止めて下さい。)
まとめ
建設図面に出てくる勾配は、「高さ1に対して横がどれだけ広がるか」という考え方です。
代表的な勾配を整理すると次のようになります。

勾配 角度 特徴
1:0.3 → 73.3° 非常に急
1:0.5 → 63.4° 急斜面
1:1 → 45° 基本勾配
1:1.5 → 33.7° 緩め
1:2 → 26.6° かなり緩い
また、図面では角度ではなく、〇:〇といった比率で表すのが一般的で、現場では土質条件や安全性によって、最適な勾配が決められています。
おまけ問題の答え:30度は1:√3


どこかで見たことのある数字が出てきたと思いませんか?
AIが最初に誤って導き出した1:0.577は逆向きの60度を指していて
(おそらく私を試したか適当な答えで満足させようとした
でもTurbocadを使って確認している私には通用しません。)
30度を勾配で表記すると1:√3になります。
学校を卒業したら使うことはないと思っていた、この計算は
ここで使います。

さらに補足ですが、この30度は
縦1:横√3:斜2
つまり縦1の長さに対して斜の長さはぴったり2。
・・・便利ですね。


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