
CIIC(一般財団法人 建設業情報管理センター)は、建設業界の経営審査分析情報を提供するサービスです。
建設会社の経営者や担当者にとっては、少し苦手なテーマかもしれませんが、このデータベースを活用することで、関係者にはいくつかのメリットがあります。
経営審査とは?
「経営審査(正式には経営事項審査)」とは、建設業を営む企業が公共工事の入札に参加するために必要な評価制度です。この審査では、会社の経営状況や技術力が数値で評価され、得点化されます。
具体的には、「会社の財務状況」「施工実績」「技術者の数」などがチェックされ、総合的な点数(評点)が付与されます。高い得点を獲得することで、より大きな公共工事の入札に参加できるチャンスが広がります。

入札に参加できる基準のひとつですね。
しかし、具体的な申請方法や得点アップのコツを知るのは簡単ではありません。この記事では、経営審査を効率よくクリアするための基本知識と実践的なヒントをわかりやすく解説します。これから経審を控えている方も、すでに経験のある方も、ぜひ参考にしてください!
経営事項審査の評価点と工事評価点には関係がありますか?

経営事項審査の評価点(経審点)と工事評価点には密接な関係があります。特に、工事を受注するための総合評価や、次回以降の入札で有利になるかどうかに影響します。
1. 工事評価点とは?
工事評価点(施工評定)は、実際に施工した工事に対して、発注者が工事の質、進行管理、安全管理、完成度などを評価し、点数化したものです。この評価は主に公共工事に適用され、施工業者の技術力や管理能力の証明になります。

あらゆる施工管理の結果が大きく関係しています。
2. 経営審査との関係
経営事項審査の中には、技術力や施工能力を示す「技術職員数」や「工事成績」などの項目があります。この「工事成績」の部分に、過去の工事評価点が反映されます。つまり、工事評価点が高ければ、それが経審の評価点に良い影響を与えるのです。
3. 評価点が経審に与える影響
以下のような形で経審に影響します:
- 工事成績評定点の平均値が評価の一部として加算されるため、評価点が高ければ経審点も上がります。
- 技術評価の向上に寄与し、企業の技術力や信頼性が高いと見なされる。
4. 次回の工事受注に有利
経審点が上がることで、より大規模な公共工事や民間工事の受注に繋がる可能性があります。また、発注者は過去の工事評価を重視するため、工事評価点の高さが次回の選定基準にも影響します。
工事を発注する側(発注者)も経営審査の評価点を重要な参考資料として活用しています。
1.公共工事の入札選定
国や地方自治体が公共工事を発注する際、経営事項審査の評点(いわゆる「経審点」)は、入札資格の重要な基準になります。一定の点数を満たさないと、そもそも入札に参加できないことがあります。
2. 適切な業者選び
発注者は、施工能力や財務の安定性が高い業者を選びたいと考えます。評点が高ければ、「この会社は信頼できる」「経営が安定している」と判断しやすくなり、選ばれる確率が上がります。

より実績と信頼の高い会社が選ばれます。
3. 発注リスクの軽減
経審の評価点は、会社の健全性を数値化した指標とも言えます。発注者側にとっては、工事の途中で業者が倒産したり、問題が発生したりするリスクを減らすための材料になります。

取引先の情報は事前にチェック
4. 民間工事でも参考にされることがある
公共工事だけでなく、大手ゼネコンや民間企業も、取引先を選ぶ際に経審の評価点を参考にすることがあります。これは、安定したパートナーを確保するためです。

ただ工事をこなすだけでなく、こういった部分も
対処しておかなければならないんです。
補足:
発注者が経審点だけでなく、過去の施工実績や企業の評判も併せて確認するため、総合的な評価が行われますが、経審点が高いことは信頼を得る大きな要素です。
経営審査分析で分かることとメリット

- リスク回避と信用調査
CIICのデータベースには、企業の財務情報や経営状況に関する詳細な情報が含まれています。
これにより、取引先の信用度を評価し、取引におけるリスクを事前に把握することが可能です。
特に大規模なプロジェクトや長期契約を結ぶ際には、信用調査は不可欠です。

このデータベースは公開されていますので
誰でも閲覧できます。
- 売上・収益の分析
CIICを利用すると、競合他社や取引先の売上や収益状況を分析できます。
自己資本比率やキャッシュフローなどは「評点」で表されており、自社の市場ポジションを確認し、競争力を強化するための戦略を立てる際の参考資料として活用できます。


キャッシュフローと言えば
ロバート・キヨサキ氏の
「金持ち父さんのキャッシュフロー」が有名です。
- 有資格者数の把握
特定の工事には、専門資格を持つ人材が必要です。CIICでは、企業ごとの有資格者数も確認できます。
これにより、プロジェクトに必要な人材を確保し、適切に配置することが求められます。
資格保有者が多い企業は、信頼性と専門性が高いと評価される傾向があります。

大手は有資格者や専門的な技術を持った人材が揃っていますが
多くの中小企業では、ここが大きなポイントだと思います。

前提として、高齢化や人手不足などの課題があります。
- 取り組みや実績の確認
CIICを活用することで、企業の取り組みや実績に関する情報を得ることができます。
業界の動向や競合他社の戦略を把握し、自社の方向性を検討したり、今後の目標や課題を明確にします。
- 一般の方が建設業者に仕事を依頼する目安
審査結果は公表されており、一般の方が建設会社を選定する際の判断基準として役立ちます。
住宅建設などで依頼する建設会社を選ぶ際、企業の信頼性や実績、専門性を確認することは非常に重要です。
また営業停止や処分の有無も確認できますが、詳細な事情は不明な場合が多いので、誹謗中傷は避けましょう。

他社の事を言ってる暇があったら
もっと自社のことを考えた方が得ですよ。
- 就職希望者のための情報提供
雇用保険、健康保険、厚生年金などの福利厚生についても確認できます。
これにより、就職を考えている人々が企業の雇用環境を理解しやすくなります。

就職を希望する人材は、まず
福利厚生や年間休日数を見ていますよ。
建設会社の経営事項審査結果の調べ方


常に見る必要はありませんが、自社情報や
取引先の状態を確認しておくようにして下さい。
CIICのウェブサイトにアクセスし、「経審結果の公表」を選択します。


次に、「商号名称検索」を選び、会社名をカタカナで入力します
(「株式会社」や「有限会社」などの前置詞は不要です)
国土交通大臣または都道府県知事の許可を選択し、「検索」を押すと、該当する会社名がリスト表示されます。
選択すると経営事項審査結果が記載されたPDF文書が表示されます。

情報をPDFでダウンロードできます。
まとめ
CIICは、建設業界における情報を分析するための重要なツールです。
企業はこれを活用することで、リスク回避、業績の向上、適切な人材の確保、競争力の強化など、多くのメリットを享受することができます。
