土工事における掘削は、地盤の安定性や作業の安全性を左右する非常に重要な作業です。
その中でも「段切り」は、広いエリアだけでなく、狭い現場での作業でも効果的に土砂崩れや地盤の圧力を軽減するための優れた技術です。
この記事では、段切り工法の基本的な役割と、どのように応用できるかについて解説し、作業の安全性と効率を高めるポイントを紹介します。
土工 段切りとは

段切りは、土工事においてよく用いられる掘削方法です。オープンカット(開削法)や法面(のりめん)において、一定の間隔で小段を設けることで、地盤を安定化させ、崩壊を防ぐ効果があります。
この方法は、特に急傾斜地や軟弱な地盤で有効であり、安全性を高めつつ効率的に作業を進めることができます。
また、段切りは盛土においても非常に効果があり、盛土材料が根元から滑る(円弧滑りなど)を軽減することが可能です。このように土工における段切りの施工は少しの手間や工夫で重要な意味があります。
段切りの応用
段切り工法は広範囲の掘削だけでなく、狭い場所でも有効に活用できます。

たとえば、下水道管を敷設する際に1~2m程度の深さで細い掘削を行う場合、通常は土砂の崩壊を防ぐために土留めを設置する必要がありますが、掘削ラインの両側に段切り(幅30cm~50cm程度)を施すことで土圧を大幅に軽減できます。(掘削の影響幅が定められている場合は同程度の幅でも十分です)
これにより、土留めの必要性が減り、効率よく安全に作業を進めることが可能です。特にオープンカット工法のような、掘削の深さに対して幅に余裕がない場合には効果的です。
状況によって掘削後の土留めが不必要になるとは言いきれませんが、この方法を取り入れることで土工事の安全確保以外に、埋め戻しや転圧(締固め)作業がしやすく、沈下しにくくなるメリットもあります。
(自動的に掘削と盛土の両方に段切りを行ったことになります)
段切り工法と土の種類
段切り工法の効果は、現場の土質条件によって異なります。粘性土のように雨水の影響を受けにくい土質では非常に効果的ですが、砂質土など水分に敏感な地盤では掘削面が崩れやすくなる可能性があります。
そのため、このような現場では適切な排水対策が重要です。段切りを行った部分(まだは掘削面)をブルーシートで覆い、風で飛ばないようにピンや杭を使って固定するだけでも効果的です。
土工において「水」をいかに対処できるかがとても重要です。
掘削面の安定と段切りの重要性
土の掘削や盛土には安定角(1:1や1:1.5勾配など)があり、段切りを設けることで土砂崩れのリスクを減らせますが、小規模な工事や民間工事ではこのような安全対策が省略されることが多々あります。
公共工事でも、さらに安全で効率的な施工を行うために、段切りを積極的に取り入れることで、現場の安全性が向上し、評価につながることがあります。
よく掘削ボリュームをいかに削減できるかが重要視されがちですが、実際の現場ではどの方法がより安全で効率的か、品質を確保しやすいか検討するのも大事です。
DIYや他の工事への応用
段切り工法は、大規模な土木工事だけでなく、個人のDIYや小規模な工事にも応用できます。たとえば、庭に池を作るための掘削や、フェンスの基礎を作るために地面を掘る際にも、段切りを行うことで地盤の安定を図り、安全な作業が可能になります。
深めの穴の中で作業をする場合「作業幅:作業スペース」は最低でも30cm以上必要です。
作業できる幅が広ければより安全になり、衣服を汚してしまう心配もありません。
また自宅の庭を掘った場合でも、開口部に第三者(家族や通行者など)が誤って転落しないようにロープや看板を設置することをお勧めします。
玄関などのように、開口部を跨いで移動する必要がある場合は「足場板」やコンパネ(折れないように補強したもの)を使って足場を作成します。足場が滑りやすい場合は、足場表面に短く切った木材を並べて固定するとで滑り止めになります。

まとめ
段切り工法は、広い範囲の掘削だけでなく、狭い場所での掘削にも対応できるシンプルかつ効果的な技術です。適切に活用することで、地盤崩壊を防ぎ、作業全体の効率を高められます。また、土木工事のような大規模な現場だけでなく、他の工事や個人のDIYにも活用できる点がこの技術の大きなメリットです。