建設現場でのドローン活用とは
近年、ドローンを活用した航空写真撮影が建設現場でも一般的になってきました。
着工前や完成時の記録写真、工事区間全体の俯瞰撮影、屋根・橋梁などの高所撮影など、これまで高所作業車や飛行機を使わなければ撮れなかった写真が、ドローン1台で手軽に撮影できるようになっています。

公共機関や民間の発注者(施主)への説明資料として
ドローンで撮影した写真や動画が重宝します。

建設現場の防犯カメラ設置については以下の記事で紹介しています。

ドローン空撮の注意点
ドローンによる航空写真撮影では、市街地・公共施設周辺・空港付近など飛行禁止区域が存在します。
また、機体重量やサイズによって飛行に関する法的制限が異なるため、事前に確認が必要です。
小型でも高画質な時代へ(建設工事向けにおすすめなドローン)
近年はコンパクトサイズでも高画質撮影が可能な機種が増えています。
代表的なメーカーは DJI、Potensic、Holy Stone など。
どのメーカーもGPS制御や安定化機能が進化し、初心者でも扱いやすくなっています。
>> DJI公式サイト
屋外で使うドローンに求められるスペック Q&A形式
- 測量や工事写真撮影に使うドローンは、どんなスペックが必要ですか?
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一般的には、GPSによる自動航行機能(自動測量)と、1インチ以上の高解像度カメラを備えている機体が望ましいです。地形データを正確に取得するには、高解像度の写真・動画撮影対応のドローンが最適です。
GPS搭載の機種はワンボタンで帰還させることが出来たり、あらかじめ決められたルート上を回って帰ってくるような設定も可能です。
- 飛行時間はどのくらいが目安ですか?
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現場の広さにもよりますが、20〜30分程度の連続飛行ができると安心です。
予備バッテリーを複数用意しておくと、休憩時間を最小限にできます。 - 風の影響は受けやすいですか?
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軽量な機体では風に流されやすくなります。
風速5m/s以上の環境では、重量のある中型機やジンバル(カメラの手ぶれ補正)搭載機が有利です。 - どんなカメラ性能が必要ですか?
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3D地形データ(および点群データの取得や生成)を考えるなら、2000万画素以上の静止画を撮影できるモデルが理想的です。撮影後の解析ソフト(Pix4D、Metashapeなど)で高精度な地形モデルが作成できます。

ちなみに都市部や山岳データ(等高線入りの山)など代表的な場所は、オンラインの地図から立体データを生成できます。
CGbox
【Blender3.4】「Blender GIS」を使って地形や街を作る方法 | CGbox こんにちは! コチラの記事では、フリーの3DCGソフト「Blender」を使う上で、ヒントになる情報を発信しています。 今回は、Blenderで地図データを扱う「GIS」ファイルから… - 夜間やトンネル内でも使えますか?
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基本的には昼間の可視光条件下での使用が前提です。
ただし、赤外線カメラやLiDAR(ライダー)搭載機を使えば、夜間や薄暗い環境でも測定が可能です。
本体プロペラの前後が分かりやすいように、LEDが色分けされていますので、方向を見失わないようにして下さい。 - 操縦資格や申請は必要?
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建設現場での撮影や測量には、航空法に基づく飛行許可申請が必要な場合があります。
また、申請手続きなどは国土交通省のWEBサイトも参考になります。あわせて読みたい航空:無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール – 国土交通省 国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。 - 建設工事でドローンを導入する最大のメリットは?
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「人が入れない場所の安全確認」「短時間での広範囲データ取得」「進捗管理の効率化」の3点です。
とくに造成工事や河川工事など、広範囲な建設現場ではドローンは有効です。 - 航空写真をスケールアップ(縮尺合わせ)するにはどうすればいいですか?
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撮影した航空写真を正確な縮尺で扱いたい場合、平面図や国土地理院の地図画像と照らし合わせることで、簡易的なスケールアップが可能です。
具体的には、地図上の基準となる道路幅や建物間距離を測定し、同じ区間を写真上で比較して拡大・縮小率を調整します。(基準点や測点位置が一致すればさらに精度が高まります)
これにより、写真測量用ソフトを使わずに、おおまかな寸法確認や面積計算を行うことができます。
ただし、精度が求められる測量や出来形管理では、基準点を使った写真測量(オルソ補正)を行うのが望ましいです。 - ドローンを使った上空からの測量データはどのように活用できますか?
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ドローンによる航空測量で得られる3次元データは、主に「点群データ」として出力されます。
このデータを利用すると、地形や構造物を立体的に再現でき、土量計算・出来形管理・進捗確認などに活用できます。また、設計図面やCADデータと重ね合わせることで、施工前後の比較や出来形の誤差チェックも可能です。ただし、点群データは膨大な点の集合体のため、パソコンの性能(CPU・メモリ・GPU)が不足していると、データの読込や表示に時間がかかることがあります。
必要に応じて、点数を間引いたり、軽量化処理を行うと効率的です。 - ドローンの障害物センサーはどのように役立ちますか?
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障害物センサーは、ドローンが壁・鉄骨・樹木・クレーンなどの障害物に接触しないよう自動で距離を検知する機能です。センサーが前方・下方・側面に搭載されている機種もあり、障害物が近づくと自動的に減速または停止します。
特に建設現場では、狭い足場や構造物の近くで撮影する際の安全性を確保するために欠かせない機能です。
機種によっては、センサーの感度や有効範囲をアプリ上で調整することも可能です。 - ドローンのカメラ角度は操作中に調整できますか?
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はい、ドローンのカメラ角度(チルト)は操作中でもリモコンまたはスマホアプリで自由に変更可能です。
真下を向けることで、建設現場の航空写真や真上からの出来形確認ができます。
また、カメラの角度を緩やかに変えると、動画撮影時に滑らかな映像を記録できます。
最近のモデルでは、ジンバル(カメラのブレを補正する装置)を搭載しており、風の影響を受けても映像が安定するため、
現場報告用の写真やプロモーション映像の撮影にも向いています。
建設現場でドローンが活躍する場面
高所(屋根・橋梁・ビル・ダム・河川など)
現場の進捗確認、補修状況の記録
工区全体の撮影や資料作成
真上からの撮影画像は、Google航空写真や国土地理院地図と重ね合わせて確認することも可能で、縮尺を合わせることで、簡易的な測量や地図作成にも応用できます。

例えば、国土地理院の地図から縮尺を取得するには
「地図の右下」に表示されている線(例えば100mの長さ)が
同じ場所を撮影した写真の100mに該当します。
ドローン操作の実際とエピソード
屋外でドローンを使用すると、風を感知して自動で位置を補正してくれます。
ただし、遠くに飛ばしすぎると見失うこともあります。
一度見失って探し回った結果、ドローンが自動的に元の場所へ着陸していたという経験もありました。
また、操作モードを途中で誤って切り替えてしまい、ドローンが意図しない方向に飛び続けたこともあります。
こうした経験からも、操作方法の確認と冷静な対応が大切だと感じます。
プロペラ交換は頻繁には必要なく、通常の使用では摩耗しにくい構造です。
スマートフォンと接続する際は、専用アプリやファームウェアの更新が必要な場合があります。

使いやすい設定は、ラジコン操作・・といった感じでしょうか。
ちなみに私が使用しているドローンはブラシレスモーターです。
航空写真をきれいに撮影するコツ「つなぎ写真」
複数枚の写真を後でつなぎ合わせる場合は、各写真に少しずつ重なる部分を作るのがポイントです。
この重なり部分を使って正確に合成できます。
また、ドローンカメラはレンズの特性上、画像がわずかに曲面になる(歪む)ことがあります。
Adobe Photoshopなどの画像編集ソフトで修正可能です。
※注意:画像の補正を行うと Exif情報(日付・位置情報) が変更される場合があります。
電子納品時は、修正の旨をコメントに記載するか、Exif情報を正しく更新しておきましょう。
建設工事におけるドローン活用の今後
実際にドローンを使用してきた経験から言えるのは、工事現場の記録・点検・報告においてドローンの有効性は今後さらに高まるということです。
従来のように梯子や高所作業車に登って撮影する手間を省け、安全性も向上します。
ただし、ドローンの使用が制限される区域では、必ず事前の申請や発注者との協議が必要です。
まとめ
ドローンを使えば、建設現場の記録・点検・報告がより安全かつ効率的に行えます。
「空撮=特別な技術」という時代ではなく、正しい知識と運用で誰でも扱えるツールになりつつあります。
現場の管理品質を高める手段として、積極的に導入を検討する価値があります。


