建設業界でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されるようになって久しいですが、
実際の現場レベルでは「導入したはいいけど活用しきれない」といった声が多く聞かれます。
現場サイドがDXの恩恵を受けるためには、「大規模なシステム導入」よりも、
身近なツール(Excelなど)を活用して、小さな効率化を積み重ねることが現実的で効果的です。
現場がDX化しにくい理由
現場では、以下のような課題がDXの障壁となりがちです。
- 同じ作業の繰り返しが多く、毎回の入力・作成が面倒
- 関係者への情報伝達がアナログで、伝達ミスが起こる
- 過去の情報を探し出すのに時間がかかる
- 情報を整理・活用できる人材が限られている
- 工事の因果関係や全体の流れが把握しづらい
- 専用ソフト(積算・CAD・完成図書等)が操作できる人に依存してしまう
- 高度な図面や立体情報があっても、現場で活かしにくい
- 計算や工程説明に手間がかかり、現場で説明しづらい
解決のヒント:従来の様式をテンプレート化
こうした課題に対し、従来の帳票・様式をテンプレートとして整備し、再利用しやすくすることで、
建設現場業務の標準化・効率化を図ることができます。
以下は、テンプレート化しやすく、効果が見込める書類の一例です。
● 安全管理
- KY(危険予知活動)・RAKY(リスクアセスメントKY)
- 作業指示書・朝礼ミーティング資料 など
● 安全教育
- 新規入場者教育チェックリスト
- 現場説明資料・ヒヤリハット報告・事故事例解説
● 見積・予算管理
- 積算データをもとにした見積書
- ユニットプライスを用いた実行予算書
● 施工・工程管理
- 施工計画書(基本様式・工程表付き)
- 週間・月間のガントチャート/ネットワーク工程表
● 資材・品質管理
- 納入管理表、在庫管理台帳
- 材料証明書・試験記録・品質チェックリスト
データの種類別:テンプレ化の可否と注意点
| データ種別 | テンプレ化のしやすさ | 注意点・補足 |
|---|---|---|
| 積算・会計・納品関連 | △ 複雑な構造や変動が多いため、部分的な定型化が現実的 | 契約関連はPDF化+金額マスキングなどが必要 |
| CADデータ | ○ PDF出力して現場と共有しやすくすればOK | 独自フォーマットは避け、質問対応も簡潔に |
| 写真・動画 | △ すべて共有する必要はなく、抜粋で十分 | 必要箇所だけをPDFや画像で説明資料化 |
| 電子データ(メール、クラウド等) | △ 情報が多すぎて逆に伝わりにくいことも | 説明できる人・意図が伝わる資料が必要 |
DXを現場で活かすためのポイント
- 「電子化」ではなく「再利用・共有可能な形式」にする
→ 膨大なデータを渡すだけでは不十分。誰でも見て理解できる形式に。 - 簡単なことから始める
→ 日常的な報告や指示書など、まずは使いやすい様式から。 - 「説明できる資料」を残す
→ 写真や図だけでなく、テキストでも共有できる情報が重要。 - 誰でも使えるツール(Excelなど)を活用する
→ 高額なシステムに頼らず、現場の手が届くDXを実現する。
まとめ
建設業のDXは、大規模なシステム導入だけでは実現しません。
むしろ、Excelテンプレートの活用やVBA・関数による自動化といった「現場のIT化」こそが、最も着実なDXの第一歩です。
現場を知る人が「ちょっと便利にした」工夫が、全体の効率を大きく変えます。
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