
建設業法は国が制定した建設業に関する法律で、その「目的」は第一章第一条に明記されています。
この記事タイトルをみて「法律を守るのは当たり前」だと思う方もいらっしゃると思います。
しかし、建設業者が守らなくてはならない法律や規定は数多く、法律に苦手意識を感じてしまう場合や
実際の現場で「そのくらい大丈夫だろう」と、あいまいな理解で業務を行っているケースも少なからず存在しており、この記事では分かりやすく「イシュー」を活用して建設業者が法律を守るための、具体的な方法を解説しています。
※イシューについての説明は、のちほど記載しています。
第一条 目的
建設業法第一条の引用分は以下の通りです。
第一条 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
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建設業法の目的を図で解説
先ほどの条文は、図で表すと以下のようになります。
解釈によって違いはあるかもしれませんが「公共の福祉の増進に寄与する」ことを目的とした場合
どのような取組み(方法・手段)が用いられるのかを示したものです。

ここで突然ですが、建設業者が法律を守らないことは「罰則」以外にも大きなデメリットがあります。
つい工事の利益や速さばかりを求め法律を軽んじがちですが、その行動はむしろ危険です。
では、建設業者が法律を守るためには、具体的にどんな取組みが必要でしょうか?
法を守らない建設業者が被るデメリットも含めて、もう少し深掘りしてみましょう。
イシューを使って潜在的な問題や課題を抽出
まず「イシュー」の簡単な説明ですが、目的を達成するまでに潜在する問題や課題を浮き彫りにする手法で
その抽出した内容をに対処することで、今後の成長を目指す取組みです。

なお、抽出する内容はネガティブな意見として捉えるのではなく
目的達成に必要な「要因・要素など」に分解し、原因を突き止めます。
「原因を明らかにすることによって対処が可能になる」といったイメージです。
建設業法第一条の「目的」をイシューを使って具体的にすると
では建設業法の「目的」を達成するために、イシューを使って内容を抽出してみましょう。
下の図は、今回の「例」ですが、「建設業を営む者の資質向上」と「建設工事の請負契約の適正化を図る」という項目に含まれる潜在的な問題を抽出してみました。

建設業者の資質向上のイシュー
・技術的スキルの不足
・品質管理の問題
・法令順守の不足
建設工事の請負契約の適正化に関するイシュー
・不透明な契約条件
・不公平な価格設定
・契約履行の不確実性
建設業者が建設業法を守るためにすること

これにより、具体的で解決すべき問題に焦点を当て、建設業法がこれらの問題に対処するためのルールを提供していることが分かります。
建設業者はこれらの問題をクリアすることで、法律を守りつつ、守られることが期待されます。
法に従わない建設業者が被るデメリット
もし、これらの問題に対して「法を守らない」・「対処しない」という選択をすると、俗に言う「手抜き工事」や「不適切な請負契約」を行っていることになります。
工事の管理不足、重大な事故の発生、品質の悪い工事には、責任の追求、工事のやり直し、是正処理、書類などへの対応にかかる期間や費用が膨大です。手抜き工事によって得た僅かな利益よりも、これらのデメリットがはるかに大きいことが明白です。
さらに、請負契約を不正に行ったり、曖昧な契約を結んだ場合はどうでしょうか?
そもそも法に反した行動をとっていた建設業者の「言い訳」が、後になって通用することは困難です。法的な問題に直面することになり、信頼性やビジネスへの悪影響が避けられません。
まとめ
建設業者が建設業法を守ることは、単なる法令遵守だけでなく、自らのビジネスや評判を守るためにも重要です。法令順守は公共の福祉に寄与するだけでなく、信頼性や実績を築くための重要な土台部分です。
法を守ることで、建設業者は潜在的な問題や責任を避け、効率的な業務遂行に寄与すると同時に、将来的なリスクやトラブルを回避するメリットがあります。