工事完成図書は、完成した工事に関する重要な記録で、将来の維持管理や法的対応に欠かせないものです。
その保管義務や内容、管理方法について煩雑に感じる方も少なくありません。
この記事では「完成図書」について、定義や管理方法について解説します。
工事完成図書の保管義務と目的
建設業法に基づき、工事完成図書は「紛争解決の円滑化に資する書類」として、10年間の保管が法律で義務付けられています。
(例:設計図面、施工記録、安全管理記録など)
保管の主な目的
維持管理:不可視部分や使用材料の確認、品質管理。
法的対応:契約履行やトラブル対応時の証拠書類。
将来の対応:将来、改修工事や増築時に必要な情報を提供。

工事完成図書に含まれる書類の一覧
工事完成図書は、主に以下のような書類から構成されています。
仕様書:設計や契約に基づく工事の仕様を記載。(仕様に関する打合せなども含みます)
施工図(完成図):実際の施工に基づいて作成された図面。(更新の記録)
安全管理記録:労働安全衛生に関する取り組みの記録。
工事写真:進捗状況や完成形状を記録した写真。(不可視部分の判定、所要日数など)
施工管理記録:工程管理や工事進捗に関する詳細。(所定の管理が適切に行われているか)
施工計画書:工事計画の全体像を記載。(どのような方法で行われたか)
品質管理記録:使用材料や品質検査の記録。(使用材料の根拠)
出来形・数量記録:施工結果の寸法や数量のデータ。(出来形を満足しているか)
取扱説明書:機器や設備の仕様書や保証書などが含まれます。(カギやメンテナンス方法など)

コンクリート塩分含有量試験に使用した「カンタブ」や
「紙ベースのデータを、スキャナーで電子化しても構わないか?」
よく話題にあがる項目です。もちろんPDFなどのデータにすれば問題ありません。
工事完成図書の保管方法と注意点
従来の保管方法では、製本された書類を物理的に保管していましたが、現在の保管方法は、官公庁では電子データ(デジタル化)が主流になっています。
デジタルデータ移行のメリットは、物理的なスペースを必要とせず、検索や管理が容易となりますが、デメリットや注意点として、データ改ざんや紛失防止のため、セキュリティ対策が必須になります。

データは圧縮後、誤って紛失しないようにバックアップ(クラウドサービスなど)に保管しておくことをおすすめします。
クラウドサービスの活用:近年、クラウドデータサービスの導入により、効率的かつ安全なデータ管理が進んでいます。
ファイルの圧縮とクラウドサービスについては、以下の記事で紹介しています。

まとめ
工事完成図書は、建設業の運営や維持管理において欠かせない記録であり、適切な保管と管理が求められます。
従来の製本保管から電子データ化への移行が進んでおり、セキュリティ対策を施したクラウド管理の活用が推奨されます。