はじめに
「Excelで自動計算できるなら、関数電卓は必要ないのでは?」
そう思われるかもしれません。
実際、現在の建設現場では測量データや出来形管理、品質管理など、多くの計算がExcelで処理されています。
しかし私は、現場で測量を行うときも、事務所でデータを整理するときも、必ず関数電卓を使って確認計算を行っています。
それは、Excelを信用していないからではありません。
数式やデータを入力するのが人間だからです。
水準測量では膨大なデータを扱う
道路舗装や造成工事では、水準測量や横断測量を行います。
一定間隔ごとに高さを測定し、
- 地盤高
- 設計高
- 勾配
- 掘削量
- 盛土量
などを計算していきます。
現場では野帳へ数値を書き込み、その後Excelへ入力して一括計算します。
データ量が多い現場では、数百点、場合によっては数千点の測量データになることも珍しくありません。

頭の中で暗算できるような簡単な計算だとしても
「あっている」「間違っていない」と思い込まずに!
自分で「間違っていなかったか」疑ってかかるくらいがちょうどいいです。
Excelは計算するためではなく確認するため
Excelは非常に便利です。同じ計算や合計・平均値など
データ入力さえしてしまえば、数百件の計算でも数秒で終わります。
しかし、計算が早く終わったから安心ではありません。
私の考えでは、Excelは入力ミスを発見するための道具です。
入力した数値が正しければ、Excelは正しい答えを返します。
しかし、入力した数値が1か所でも間違っていれば、当然その答えも間違います。
一番怖いのは基準点(ベンチマーク)の入力ミス
水準測量では、全国に設置された基準点などを利用して、KBM(仮ベンチマーク)を設置します。
この高さが、その現場すべての基準になります。つまり、最初に設定した高さを間違えると、それ以降に計算されるすべての高さが間違ったままExcelは正しく計算してしまいます。
データの見た目的には「それなりにまとまって見えてしまう」ことが問題です。
間違っているのは、入力や設定をした人間ですから、最終的な確認が必要です。
関数電卓でもう一度計算する
そのため私は、Excelでまとめたあと、野帳に記録したデータを見ながら、関数電卓でもう一度計算します。
- Excel
- 関数電卓
この両方の結果が一致していれば、計算ミスはほぼ防げます。
もちろん100%とは言えませんが、入力ミスを見逃す可能性は大幅に減ります。

EXCELで計算した数値と、関数電卓で計算した数値が違っていた場合、ボタンの押し間違いか、1行ずれて入力した、計算の元になった数値が違っていたなど「間違った理由を確認しておく」ことが重要です。
現場では計算速度も重要
水準測量では、スタッフマンが標尺を持って次の測点へ移動します。
その間に、観測者は
- 高低差
- 地盤高
- 数値の異常
- 距離(水平距離や区間距離、構造物の位置関係など)
まで確認しています。
理想は、スタッフマンが次の点へ移動する頃には、前の計算が終わっている状態です。

スタッフマンが標尺を前後に往復した瞬間、数値を読み取って
頭の中で数値を記憶したらすぐに野帳に記入。(数秒)


もし数値がおかしければ、その場ですぐに確認できます。
あとで事務所へ戻ってから間違いに気付くより、現場で確認した方が圧倒的に効率的です。
関数電卓はポケットサイズなのに「速く答えを出す道具」
私が関数電卓を使う理由は、複雑な計算をするためではありません。
現場で、正確に、素早く、確認するためです。
スマホでも計算できます。
Excelでも計算できます。
しかし、測量の流れを止めず、その場で確認できるという点では、関数電卓は今でも非常に優秀な道具です。

例えば会計事務の方が、お金の計算をするとき
キーレスポンスが悪い・液晶画面が薄い電卓を使い続けるのはストレスや入力ミスにつながります。
メインは会計ソフトを使って入力、印刷や送信前に電卓で確認、といった具合です。
計算ソフトと関数電卓:それはそれ・これはこれ→二者択一ではない
「Excelがあるから関数電卓はいらない」というわけではありません。(会計ソフトなども同じ)
計算ソフトと関数電卓は混同されがちですが、「それはそれ、これはこれ」です。
- 持っていればすぐに計算できるよね
- 間違いを防げるよね
- 別の方法で計算した時に答えが合っていれば間違いを減らせるよね(安心だよね)
Excelは何百件ものデータを一瞬で計算できます。
一方、関数電卓は現場でその場の数値を確認したり、入力ミスがないか再計算したりするときに役立ちます。
どちらか一方ではなく、それぞれ得意分野があるため、私は両方を使い分けています。

関数電卓のことで、こんなことをいう人はあまりいないかもしれませんが・・このシリーズは「スマホ vs 関数電卓」「Excel vs 関数電卓」のような二者択一や比較ではない、ということです。
>> CASIO 関数電卓
>> SHARP 関数電卓
>> CANON 関数電卓
まとめ
建設現場では、Excelと関数電卓は競合するものではありません。
Excelは大量のデータをまとめ、関数電卓は現場で確認する。
両方を組み合わせることで、
入力ミスや計算ミスを最小限に抑えられます。
便利なソフトが増えた現在でも、基本となる計算の考え方は昔と変わりません。
だからこそ、私は今でも関数電卓を使い続けています。

関数電卓はエンジニアにとって必要不可欠な商売道具ですから、便利なツールと同様に「使いこなしてなんぼ」なんです。



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