はじめに
関数電卓を長年使っていると、「計算が速いですね。」と言われることがあります。
しかし、私は特別に計算が速いわけではありません。
現場では、速く入力することよりも、間違えないことを意識しています。
その結果として、作業全体が速くなっているだけです。
今回は、私が測量や施工管理の現場で意識している考え方を紹介します。

関数電卓は、一見すると難しそうな道具に見えるかもしれません。
しかし、一度使い方を覚えてしまえば、三角関数や測量計算、品質管理など、エンジニアが行う専門的な計算も電卓ひとつで素早く処理できます。
実際に、資格試験では関数電卓の使用が認められているものも多く、現場では今でも欠かせない道具のひとつです。
私は、関数電卓はエンジニアにとっての「国語辞典」や「外国語翻訳ツール」のような存在だと考えています。公式を暗記するだけでなく、「必要な計算を、その場で正確に理解できる」ようになるからです。
入力ミスに気付いたら最初からやり直す
最近の関数電卓では、矢印キーを使って入力途中の式を修正できる機種もあります。
もちろん便利な機能ですが、私はほとんど使いません。
途中で入力を間違えたことに気付いたら、一度クリアして最初から入力するようにしています。
理由は単純です。
途中から直すより、最初から入力した方が安心できるからです。
現場では考える時間の方が重要
測量では、単純な四則計算だけではありません。
例えば、
- 地盤の高低差
- 勾配
- 設計高さ
- 周囲との整合性
などを同時に考えています。
そのため、関数電卓の操作に時間を使うより、計算結果を確認する時間を残すことの方が重要です。
メモリー機能は「考える時間」を作る
私は、同じ数値を何度も入力することを避けています。
機械高など、繰り返し使う数値は、メモリーへ登録します。
これは入力時間を短縮することが目的ではありません。
入力を減らすことで、数値の確認に集中できるようになります。(入力間違いも避ける)
EL-509Tでのメモリー活用例 Xを固定値にして繰り返し計算する方法
測量では、同じ数値を何度も使う場面があります。
例えば、機械高や基準となる高さを一度登録しておけば、毎回入力する必要がありません。
登録する例
10+10=
20.000
と表示されたあと、
STO
↓
RCL(X)
で、20.000をXへ登録します。

ANSやM+、他の記号ではなくXがおすすめです。
呼び出すとき
登録した数値は、
RCL
↓
RCL
と、RCLボタンを2回押すだけで
20.000
を呼び出すことができます。
あとは、その値を利用して
20.000 − 標尺の読み
などの計算を続けるだけです。
なぜ便利なのか Xに値を入れる→呼び出すボタンも同じにする
例えば水準測量では、
同じ機械高を何十回も使用します。
毎回
20.000
を入力するより、
登録して呼び出した方が
- 入力ミスが少ない
- 計算が速い
- 数値確認に集中できる
というメリットがあります。
私自身、関数電卓を選ぶ際も、
「登録した数値を何キーで呼び出せるか」
を重要なポイントとして考えています。

2ボタンでの数値呼出し方法になりますが
横断測量などで固定した数字を反復して使いたい、入力間違い長いか画面で確認しながら素早く計算できる方法としてアリです。
この方法で数百点ほど計算してみましたが、結果もバッチリでしたので、ぜひお試しください。
本体に記録されているメモリーを確認したい場合 EL-509T
ALPHA → 9(メモリー)
A~F,X,Y,M 各変数に登録している数値の一覧が表示されます。

関数電卓の基本的な使い方ではありますが
どんな機能があって、どう使えば自分にとって分かりやすいか
(速いか)を身につけてしまえば、強力なツールになります。
計算結果だけ見ない
測量では、答えだけを見ることはほとんどありません。
例えば、前の測点との差が急に大きくなれば、
「あれ?」
と感じます。
計算結果だけでなく、現場全体の流れを頭の中でイメージしています。
だから、電卓は答えを出す道具ではなく、確認する道具でもあります。
道具を使いこなすことが大切
最近では、スマホアプリでも十分な計算ができます。Excelでも、瞬時に計算できます。
しかし、どんな道具でも、使いこなせなければ意味がありません。
私は、新しい機能が増えることより、必要な操作を迷わず行えることを重視しています。
毎日使う道具だからこそ、自分に合った操作方法を見つけることが一番大切だと思います。
関数電卓は長く付き合う道具
関数電卓は、数年に一度買い替える程度です。
高価な道具ではありませんが、毎日のように使うため、自然と手に馴染んできます。
私は、新品だから良い、最新機種だから良い、とは考えていません。
「自分が一番使いやすいもの」
それが一番の正解だと思っています。
このシリーズについて
今回紹介した内容は、私が長年測量や施工管理で使ってきた経験をまとめたものです。
今後も、実際の現場で使ってみて気付いたことや、より効率的な操作方法などがあれば、随時追加していく予定です。
関数電卓は決して派手な道具ではありません。しかし、現場を支えるエンジニアにとっては、今でも欠かせない相棒の一つです。
少しでも参考になれば幸いです。



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