
公共工事における工事評価点の計算は、各項目ごとに基準点数に加点または減点が行われ、最終的な評価点が算出されます。以下にその仕組みを詳しく説明します。

工事評価点の内容を理解することで
評価につながるポイントを抑えることができます。
各項目の評価基準
公共工事の工事評価点に関する記載は、以下の記事で紹介しています。

各項目には普通(プラマイゼロ)、良い評価(プラス)、不備(マイナス)の評価があります。
個別の評価と基本の点数の計算
工事担当者、技術評価員、検査官は項目ごとに個別に評価します。
各項目ごとに、評価に応じて一定の割合を掛けたものに基本の点数(2.9~6.5点)を加えています。
最終的な評価点の算出
工事の評価点は、各項目ごとにチェックした評価が合計です。
具体例
例えば、施工体制が優れていれば7.4点、施工状況が優れていれば33.6点の評価が得られる場合
施工体制: 7.4点
施工状況: 33.6点
他の項目(工事特性、社会性など)も同様に評価され、点数が加算されます。
加点と減点を理解した建設現場での対応
工事評価点の理解
工事評価点は、会社の取り組みを客観的に評価する指標です。
評価内容を詳細に読み返すことで、どの項目で評価が得られたか・どの項目に不足があったのかを具体的に把握できます。

工事評価点が低かった、高かったで終わるのではなく
「会社の体制を評価したもの」だとご理解下さい。

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に繋がるのですから・・・
過去の工事評価点を活用
過去の工事成績点を振り返り、不足していた項目を特定します。
不足している項目に焦点を当て、それに対する対策や改善策を検討します。
体制の強化
不備があった項目に対する対策を講じ、社内(現場内)の体制を強化していきます。
例えば、施工体制が不足していた場合は、計画書の充実やチェック体制の強化などを行います。
チームの意識向上
不足していた項目に関するトレーニングや教育を行い、チーム全体の意識向上を促進します。
例えば、施工管理や品質管理において、新しい手法やベストプラクティスを導入することが考えられます。
定期的な振り返りと改善
工事評価点の振り返りを定期的に行い、改善の余地があれば迅速に対応します。
フィードバックを活かして、次回の工事に向けた計画や対策を練ります。
他社の成功事例の導入
同様の課題に取り組んでいる他社の成功事例を参考にし、活用します。
他社の経験から得られる知見を導入することで、自社の取り組みを効果的に向上させることができます。
継続的な改善
工事評価点を通じて得られた知見を元に、継続的な改善活動を進めます。
変化する状況やニーズに対応する柔軟性を持ち、より高い工事評価点を目指していきます。
施工計画書との内容の一致
工事評価点の評価には、当初の施工計画書の内容と一致していることがポイントになります。
工事に伴って変更が必要な部分は「変更施工計画書」を作成し、管理体制の充実化を図りましょう。

例えば施工計画書の「施工体制図」による役割分担は
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工事成績点65点は評価がプラマイゼロ
工事評価点の65点は、合格と不合格の境界線となる評価ポイントですが、これは評価のポイントが高いとは言えません。
加点項目が少ない・減点項目があった、取組みに対して十分な評価が得られなかった状態を示しています。
不足していた場合の対応
もし工事評価点が65点未満だった場合、工事の施工において問題が生じた可能性があります。これには、施工体制や施工状況、品質管理などの項目での不備や打合せ不足が考えられます。
原因の特定
不足している項目を特定し、問題の原因を明確にします。これには施工の計画や実行において何が問題となったのか、またそれがどのように評価されたのかを理解することが重要です。
是正措置の検討
不足していた項目に対しては、是正措置を検討します。これは施工計画の見直し、管理体制の改善、品質管理の向上などが含まれます。
会社の取り組みが工事成績点の評価に反映されていない場合の対処法
工事成績点が実際に行っている会社の取り組みに対して、発注者側の判断が適切に行われていなかった場合は、それらを証明する資料などをもとに採点の見直しを要求することも可能です。
適切な評価が得られにくいケース
工事担当者が工事を把握していないケース
工事の評価は担当者や検査員によって行われますが、工事の施工内容を担当者が十分に把握できていないと、工事成績点が低下する傾向があります。
この問題は、担当者が検査官や評価員に対して工事の詳細な情報を伝えることが難しい場合に発生することがあります。
率直な意見かもしれませんが、工事の管理が発注者から設計者や建設コンサルタントなどに委託されている場合、工事担当者が現場の状況や疑問点、根拠、解決策について理解不足であったり、図面に明記されている内容を把握できていない場合もあります。
対処法としては、工事に必要な書面や対応を適切に行い、打合せや承諾が必要な事項は事細かに書面として提出しておく方法があります。
近接工事や似たような工事によって点数が固定されているケース
近接工事や、直近に行われた別の似たような工事の成績点によって、点数が固定されてしまうケースもあります。これにより工事評価点の基準が曖昧になったり、似たような工事には前回と同様の点数しか得られないといった事態が生じる場合もあります。
このような場合、近隣の工事や前回の工事での取り組みを参考にしながら、工事の安全や品質を確保するための技術提案や、より効率的な施工管理・創意工夫・社会性(地域への貢献)などを充実させる方法があります。
工事特性が限られているケース
工事特性には現場規模や工作物の複雑さなどが含まれるため、シンプルな現場では加点が難しいケースもあります。
工事特性での加点や評価を得たい場合、現場環境や自然条件などへの対応が効率的です。地下埋設物への対処の工夫や、近隣の生態系保護なども評価の対象に含まれます。

評価につながりやすい工事と、そうではない工事があるのは
正直難しいところですが、記録と打合せを密にすることが重要です。