
道路を走行する際、なぜ一部の区間が緩やかで、また別の場所では勾配が急になるのか気になったことはありませんか?
この記事では、道路の高低差や勾配がどのように計算され、なぜ警告標識が設置されるのか、さらに、5%や10%の勾配が具体的にどのような高低差を意味するのか、高低差と勾配の自動計算や、図を交えて分かりやすく解説しています。
自動計算

[CP_CALCULATED_FIELDS id=”9″]
道路警戒標識の勾配、どのくらい?
勾配は基本的に%で表記され、道路には勾配に応じた警告標識が設置されています。進行方向に対して、上り勾配は右肩上がりの矢印、下り勾配は右肩下がりの矢印が用いられます。

建設工事では、このような勾配を緩やかに組み合わせるなど、少し複雑な計算が含まれますが、この記事での解説は割愛させて頂きます。
勾配の目安として、0~5%が「緩い勾配」、5~15%が「やや強い勾配」、15%以上が「かなり強い勾配」です。実際には30%を越える急な坂道も存在にしています。特に「急な下り勾配」を車で走行する場合は車速が増すため、減速と車間距離の確保が重要です。

余談ですが、高低差のない面は「水平」や「レベル」と呼ばれます。アスファルトやコンクリート舗装などは、表面に雨水などが溜まらないように水平ではなく1.5~5.0%以下の勾配を設けることをおすすめします。

次の解説では、5%や10%の上り勾配と下り勾配について解説していますので、このような警戒標識では、どのくらいの高低差があるのか分かります。
勾配計算の解説

2点間の高低差と勾配の計算方法について、先ほどの略図を使用して解説します。
上の図は、一見するとやや複雑に感じるかもしれませんが、実は四則計算のみのシンプルな内容です。
A地点の高さをV1、B地点の高さをV2とし、高低差(H)は次のように求めます。
高低差(H) = B地点の高さ(V2) ー A地点の高さ(V1)
勾配(i)は高低差(H)を距離で割り、百分率100(%)をかけて計算します。
勾配(i) = 高低差(H) ÷ 距離(L) ×100%

つまり勾配とは
高低差を距離で割った数値を百分率で表したものです。
例題:5%の上り勾配

実際に、5%の上り勾配がどのくらいの高低差になるかを図を用いて解説します。
A地点とB地点の距離が10.0m、勾配が5.0%の場合、2点間の高低差の計算は
高低差(H) = ( 5.0% ÷ 100.0% ) × 10.0m = 0.500m
となります。
(上の式の中で5.0%を100.0%で割っているのは、百分率で表した数字を元の数字に戻すために使用します。)
5%の上り勾配は1m進むごとに0.05m(5cm)高くなります。したがって、A地点のからB地点までの距離が10.0mの場合は、A地点とB地点の高低差は0.500m(50cm)となります。
例題:10%の上り勾配

同様に、10%の上り勾配についても例を示します。
A地点とB地点の距離が10.0m、勾配が10.0%の場合、2点間の高低差の計算は
高低差(H) = ( 10.0% ÷ 100.0% ) × 10.0m = 1.000m
となります。
先ほど度同様に、10%の上り勾配は1m進むごとに0.10m(10cm)高くなります。したがって、A地点のからB地点までの距離が10.0mの場合は、A地点とB地点の高低差は1.000m(100cm)となります。
例題:10%の下り勾配

では「下り勾配」の場合は、どのような計算になるでしょうか。
答えは単純に「勾配がマイナスになるだけ」です。
10%の下り勾配は、数値と矢印の方向に注意が必要です。左から右に表記する際は「-10.0%」となりますが、図面などに下り勾配を表記する場合は「-10.0%」(マイナス)で表します。
A地点とB地点の距離が10.0m、勾配が-10.0%の場合、2点間の高低差の計算は
高低差(H) = ( -10.0% ÷ 100.0% ) × 10.0m = -1.000m
となります。
10%の下り勾配は1m進むごとに0.10m(10cm)低くなります。つまり、A地点のからB地点までの距離が10.0mの場合は、A地点とB地点の高低差は-1.000m(100cm)となります。


