道路や施設の前でよく見かける「○○をなおしています。」という看板。
実はこの看板、正式には「工事情報看板(旧:工事名称看板)」と呼ばれ、工事内容や発注者、施工者などを一般の人に分かりやすく伝えるためのものです。
ここでは、どこで注文できるのか・何を記載すべきか・作るときの注意点を実務的な観点から解説します。
公共工事における工事情報看板の設置義務
公共工事では、工事の実施に先立ち、工事の内容や施工者・発注者情報を周知するために、現場に工事情報看板を掲示することが義務とされています。
- 目的は、通行者や近隣住民への安全確保と情報提供です。
- 設置の時期や内容は、発注者の仕様書や共通仕様書に基づき、工事着手前に掲示することが求められます。
看板はどこで作る?
多くの現場では、長年付き合いのある地元の商社や看板業者に依頼して製作しています。
また、既存のフレームを再利用して文字シールだけ貼り替えるケースも一般的です。
法人向けであれば、仙台銘板やユニットなど、建設資材カタログでおなじみのメーカーが
「必要項目を伝えるだけでオーダーできる」サービスを提供しています。

近年は文字シールではなく、印刷した看板が使用されることが多くなりました。
この看板の正式名称は?工事情報看板・工事名称看板
もともとは「工事名称看板」と呼ばれていましたが、
国や自治体による表記統一が進む中で、
現在では「工事情報看板」という名称が一般化しつつあります。

以前は漢字だらけの無駄に長い工事名も一字一句間違いないように看板に記載していました。細長いフォントで何とか凌いでいたほど・・・。
「○○をなおしています」の文字はどう決める?
この文言は現場担当者が自由に考えているわけではありません。
工事の種類ごとに表記内容が共通仕様書や特記仕様書に定められており、統一されたテキストを使用します。
例:
舗装工事 → 「道路をなおしています」「歩道をなおしています」
水道工事 → 「水道をなおしています」「水道管の移設をおこなっています」
通信工事 → 「通信設備をなおしています」「電気設備の移設をおこなっています」・・・など
まれに特別な表記を使うこともありますが、基本は共通仕様に準拠します。
「○○をなおしています」この看板には他に何を記載する?
工事情報看板をオーダーするときに必要な項目
| 記載する項目 | 内容 |
|---|---|
| 工期・作業時間 | 例:2025年1月1日~3月31日/8:00~17:00 |
| 工事名 | 「歩道補修工事」「緊急点検工事」など(積算上の区分とは異なる) |
| 発注者 | 国・県・市町村など発注機関名、出張所名、電話番号 |
| 施工者 | 会社正式名称(前株・後ろ株などを略さず記載)、連絡先電話番号 |
| 担当者名(任意) | 防犯・プライバシーの観点から省略されることもあり |

商品注文時、メーカーに上記の必要項目を伝えて下さい。
納期はメーカーによって異なります。
工事情報看板には反射材入りの看板は必要?
「工事情報看板」自体は反射材不要です。
夜間の交通安全を目的とした「徐行」「100m先工事中」といった警戒標識とは異なり、
工事情報は昼間の案内用途のため、反射材を使っても評価にはつながりません。
むしろ第三者(ドライバー)に余計な情報を伝えてしまったり、余計な経費になることもあるため、通常タイプで十分です。

反射材入りの看板が高そうに見えるのは否定できないです。
工事情報看板は何枚必要?
基本は2枚(起点側・終点側)。
現場の条件によって1枚に省略する場合もありますが、その際は必ず発注者との打合せが必要です。
複数の施工業者が同一箇所で作業する場合は、1枚の看板に複数社を併記することもあります。
ただし、この掲示方法には発注者との事前承認が必要です。
工事情報看板の費用の目安:反射材なし9000円、反射材あり3万円
| 種類 | 価格(1枚あたり) |
|---|---|
| 反射材なし | 約9,000円 |
| 反射材あり | 約30,000円 |
※ 看板に記載する文字オーダーメイド込みの費用です。
商社を通すと手数料として約10%の経費が加算される場合があります。
看板フレームのサイズは共通規格のため、既存フレームを再利用することでコストを抑えられます。
工事情報看板の設置に必要なもの
木杭・番線
既存構造物に固定する場合はウエスなどで保護
台風・降雪対策として高さと安定性の確保が重要
脚部には土のう袋を重しとして設置するのが一般的

第三者にも見やすく交通や安全(視界)を妨げない位置に設置しましょう。
工事情報看板に添付する証明書について
地域によっては、地下埋設物確認の証明書(NTT・電力・ガスなど)を工事情報看板に貼り付けて掲示することがあります。シールまたは証明書をラミネート加工し、両面テープで貼るのが一般的で、巡回時に確認しやすく、安全管理体制の明示にもなります。
WEB地下埋設確認の例
全国のNTTや電力などの地下埋設物の確認方法は、各事業者が提供する専用のオンラインサービスを通じて行えます。以下に代表的なサービスを紹介します。
🔹 NTT東日本・西日本:埋設物確認サービス
- サービス名:「埋設物確認サービス」
- 概要:NTTの通信設備が埋設されている可能性がある場所について、地図上で確認できます。
- 利用方法:NTT東日本または西日本の公式ウェブサイトからアクセスし、地域を指定して確認します。
- 注意点:情報は参考情報であり、実際の埋設状況を保証するものではありません。
🔹 東京電力パワーグリッド:埋設物確認サービス
- サービス名:「埋設物確認サービス」
- 概要:電力の埋設物(電力ケーブルなど)の位置を地図上で確認できます。
- 利用方法:東京電力パワーグリッドの公式ウェブサイトからアクセスし、地域を指定して確認します。
- 注意点:情報は参考情報であり、実際の埋設状況を保証するものではありません。
🔹 その他の地域の電力会社
- 例:中部電力、関西電力、九州電力など
- サービス名:各社の「埋設物確認サービス」
- 概要:各地域の電力会社が提供する埋設物確認サービスを利用できます。
- 利用方法:各電力会社の公式ウェブサイトからアクセスし、地域を指定して確認します。
- 注意点:情報は参考情報であり、実際の埋設状況を保証するものではありません。
📝 注意点
- 情報の正確性:オンラインで提供される情報は参考情報であり、実際の埋設状況を保証するものではありません。
- 現地調査の重要性:実際の工事前には、必ず現地での確認や関係機関への問い合わせを行ってください。
- 地域によるサービスの有無:一部の地域では、オンラインでのサービスが提供されていない場合があります。その場合、直接関係機関に問い合わせる必要があります。

地下埋設ケーブルや管の位置情報は、あくまでおおまかな路線を確認するためのものです。調査結果をもとに無断で掘削すると、重要なライフラインを損傷するおそれがあり、重大な事故や損害につながる可能性があります。

また、工事情報看板に地下埋設の確認証明書を貼っておくと、疑問点が出たときに管理番号をすぐに伝えられます。立会い確認や連絡対応もスムーズになり、トラブル防止にも役立ちます。
工事情報看板にクッションカバーは必要?
看板に第三者が接触した際のケガ防止目的で使用されることもありますが、常時装着は不要です。
1枚あたり約2,000円で取り付け可能ですが、劣化が早く、再利用コストも高いため、必要に応じて使い分けるのが合理的です。
工事情報看板 設置のQ&A
- 工事情報看板はいつ設置するのが正しいですか?
-
原則として、工事着手前に設置します。(準備工)
- 公共工事では、発注者が現場パトロールや安全確認を行う前に掲示が必要な場合があります。
- 道路や歩道を使用する工事の場合、通行者への周知を目的として工事開始の数日前に設置すると安全です。
- 工期中に内容が変わる場合(施工者や工期変更など)、変更後は速やかに更新・差し替えが必要です。
- 一時的に工事が中断した場合はどうする?
-
中断中も看板は撤去せず、必要に応じて「休工中」・「工事中止中」の表示やテープで補足します。
- 長期間放置する場合は、周囲の安全確保や表示の劣化防止を考慮して一時撤去するケースもあります。
- 夜間作業の場合、工事情報看板は光らせる必要がありますか?
-
工事情報看板自体は反射材不要です。
- 夜間の交通安全を目的とした「徐行」「工事中」などの警戒標識のみ、反射材入りが推奨されます。













