ローテーティングレーザーとは
建物の基礎工事や造成工事などで、地盤高や構造物の高さを正確に測定するために使用される機器です。
水平方向の高さを自動で測定できるため、掘削深さの確認やレベル出しに最適です。
従来はオートレベルが主流でしたが、近年は作業効率と精度を両立できるローテーティングレーザーが多くの現場で利用されています。
レーザーレベルを活用した造成(盛土や掘削)、建築基礎工事など
造成や盛土、建築の基礎工事などでは、わずかな高さの違いが後々の仕上がりに大きく影響します。
こうした現場で頼りになるのが「ローテーティングレーザー」です。
自動で水平ラインを照射し、受光機で高さを確認することで、複数人で行っていたレベル確認作業を一人でも正確かつ効率的に行えるのが特徴です。

重機オペレーターと、掘削高さを受光機で確認する手元
それぞれ1名を配置するのが一般的です。
たとえば盛土工事では、重機のオペレーターが受光機を目印にして均一な高さで整地できますし、基礎工事では型枠や捨てコンの高さ管理に活用できます。
また、宅地造成などの広い現場でも、機械の位置を移動させずに全方向で水平を維持できるため、測定の精度とスピードが格段に向上します。

ブルドーザーを使った押土(盛土など)にも
ローテーティングレーザーと受光機を使う場合もあります。
レーザー光の照射範囲は最大800m、かつ360度
オートレベルでの水準測量は、精度を考慮すると200m以内(環境によっては100m以下)が一般的です。
一方、ローテーティングレーザーは最大800mの範囲でレーザーを照射でき、広い現場でも効率的に測定できます。
使い方も簡単で、
- 本体を三脚に固定し、
- 電源を入れるだけで、
自動的に水平方向にレーザーを照射します。
高さを確認したい場所に、受光機を取り付けた胴縁やポールを立てるだけで、光の速度で高さを判定できます。
>> トプコン公式サイト

レーザー光が受光機センサー部範囲に入ると
現在の高さに対して何ミリ上げ・下げ、0mm(レベル)だと
画面に表示(BEEP音)されます。
設置高さと調整のポイント
ローテーティングレーザーの設置高さは基本的にどこでも構いませんが、次の点に注意しましょう。
- 三脚は水平に近い状態で設置する(自動補正範囲を超えないように)
- 三脚の中心にしっかり固定することで安定性を確保
- 風や振動による揺れを抑えるため、可能であれば低い位置で設置
基準高さ(ベンチマーク)を設定する場合は、受光機の取り付け位置の高さを考慮します。
たとえば、ベンチマークが10.000mで、受光機を取り付けた棒の高さが1.000mなら、レーザー機器の高さは11.000mになります。

設置した機械高に対して、基準の高さや深さをリアルタイムで測定します。受光機の高さがゼロの位置から胴縁やポールを下に延ばすと下げ、上に延ばすと上げになります(たまに勘違いしがち)
ローテーティングレーザーの精度について
「自動で測るから精度が低いのでは?」と思われがちですが、実際には非常に高精度です。
ローテーティングレーザーとオートレベルの誤差は、1〜3mm程度におさまることが多く、基礎工事で十分な精度を確保できます。
特に掘削段階やコンクリート打設前の確認作業では、ローテーティングレーザーを使うことで作業効率が大きく向上します。

この誤差は、受光機を垂直に立てているか・胴縁などの底面のわずかな凹凸、鉛筆や釘などの目印の太さが関係しています。
ローテーティングレーザー関連のQ&A
- ローテーティングレーザーの電源(バッテリー)は何ですか?
-
ローテーティングレーザー本体は「単一電池4本」または「専用バッテリー」で動作します。
受光機(レベルセンサー)は「単三電池1本」でOKです。
電池の持ちは非常に良く、使用状況にもよりますが数十時間から最大100時間程度使用できます。電池交換だけで長時間の作業が可能です。 - ローテーティングレーザーは防水仕様ですか?(屋外仕様ですか)
-
はい、防塵・防水性能(IP67)を備えており、屋外での使用にも対応しています。
雨天時やほこりの多い現場でも安心して使えます。 - 三脚は付属していますか?他に何か必要ですか?
-
記事で紹介している**トプコン製ローテーティングレーザー(RL-H5A+センサー)**には、三脚がセットになっていますので、高さ測定を行うにはこのセットで十分です。
胴縁やポール、乾電池などは別途準備が必要です。 - 暑い日や寒い日でも使えますか?
-
対応温度範囲は-20℃~+50℃なので、真冬や真夏の屋外でも問題なく使用できます。
ただし、長時間の直射日光や極端な気温下では、機器を休ませながら使うと寿命を延ばせます。 - 校正やメンテナンスは必要ですか?
-
長期間使っているとわずかな誤差が生じることがあります。
メーカー推奨では年1回程度の点検・校正を行うことで、正確な測定を維持できます。
この調整を「測量機器の校正」と呼びます。
- 傾斜(勾配)の測定にも使えますか?
-
一般的な水平測定が主用途ですが、機種によっては傾斜設定モードが搭載されているモデルもあります。
勾配施工を行う場合は、事前に機能を確認しておくと安心です。(この記事で紹介している危機にはマニュアル方式で設定可能です)Mcoon:建設工事の情報
2点間の高低差と勾配:計算方法と%表記の意味は? 道路の高低差や勾配の自動計算と警告標識の意味も交えて、5%や10%の勾配が具体的にどのような高低差になるのか、図を交えて分かりやすく解説しています。 - 機器を落としたり濡らしてしまった場合は?
-
多少の雨や振動には耐えますが、強い衝撃や水没は故障の原因になります。
落下後や長時間の雨天使用後は、動作確認を行い、異常があれば早めに点検依頼をしましょう。
補足:基礎工事 レベルターゲット・レベルポインターの活用
基礎コンクリートの天端仕上げには、「レベルターゲット」や「レベルポインター(レベルピン)」の使用が効率的です。
これは鉄筋に取り付けて、オートレベルやローテーティングレーザーで高さを確認するための補助具で、形状から「プロペラ」と呼ばれることもあります。

上部のネジ部分を回転させて高さを微調整し、ネジまたはプロペラの上面が最終的な仕上がり面(レベラーの)になります。
精度の高い天端仕上げを求める現場では欠かせないアイテムです。
まとめ
ローテーティングレーザーは、
- 測定作業の効率化
- 広範囲での正確なレベル管理
- 人為的な読み間違い防止
といった利点があります。
オートレベルとの併用でさらに精度を高めることもでき、建設現場での必需品として今後ますます普及していくでしょう。



