

はじめまして。このサイトを運営しているMコンです。
建設業界に携わり、現場管理やIT活用を中心に実績を積んできました。
この記事では、私がこれまでの経験から学んだ知識を元に、具体的な事例と共に解説しています。少しでも皆さまの役に立つ情報を提供できれば幸いです。
普段あまり気にすることのない土地の「敷地境界」ですが
場所が分からなくなったり、いつのまにか位置がズレていたり
何らかの原因で、境界そのものが無くなっていることもあります。
境界があいまいになると、隣家とトラブルを引き起こす原因にもなります。

敷地境界の近隣トラブルは意外と多いです。
お隣さんと口約束で境界を決めた場合、当事者が亡くなっていて記録もあいまいだと、後継者がモメるトラブルも・・・

新しく土地を購入する場合も、境界トラブルに備えるためにも
不明な点があればよく確認しておきたいですね。
そのような対処法として
この記事では「敷地境界」についての説明と、面積の計算方法を簡単に解説しています。
敷地境界の主な種類、境界位置の見方
プラスチック境界杭
敷地境界は「赤いプラスチック杭」が地面に打ち込まれています。(通称プラ杭)
他に青や黄色い境界もありますが、境界を表す意味は同じです。
「プラスチック境界杭」はホームセンターやインターネットでも購入できます。
サイズは数種類ありますが、杭の太さは3~6cmほど、長さは30cm~60cmくらいです。
杭の上に十字や直線の切り込みがあり、十字の場合はその中心が境界ラインの中心を表しています。
境界プレート(アルミ)
また「境界プレート」というアルミ製のプレートもあります。
敷地の舗装や構造物などに、付属のねじや接着剤を使って地面に固定されています。
プラ杭と同様、十字の中心・矢印の指す位置が境界を表しています。
コンクリート境界杭
「コンクリート製の境界杭」は主に官民境界、JRなどの境界に使用されます。
(宅地の境界に設置していることもあります)
敷地の広さ(面積)や長さは、図面にはどのように記載されている?
敷地の形状は、上の図を例にした場合
赤い4つの角が境界の位置になっている、台形型の敷地を表しており
線の隣にある数字が、それぞれの境界同士の距離です。
数値は小数点以下3位まで記載するのが一般的です。
(さらに細かく小数点第4位の数値を使うこともあります。)※測量の精度を高めるため
小数点第3位は1mmの単位ですが、精度の高い座標計算は、さらに小数点第4位まで計算するのが一般的です。
敷地の長さはメートル(m)、面積は平米(m2)で表します。
(ミリ(mm)で表す場合は、15.000mは15,000mmとなります)
例えば15.811mは、15m81㎝1mmを表しています。
ざっくりとした敷地面積を知りたい場合
ざっくりした敷地の面積を知りたいときは、簡単な計算を使って割り出すことができます。
例えば、四角形であれば、縦×横 のように掛け算を使います。
先ほどの図を例にしますが、仮に敷地の形状が台形である場合
台形の面積は( 上辺 + 下辺 ) ÷ 2 × 高さ で計算できます。
図は横向きになっていますが、上辺(15.000m)、下辺(20.00m)
この2つの辺の長さを平均した数値に、高さ(15.000m)を掛け算するだけです。
面積A=(15.000+20.000)÷2×15.000
=17.500×15.000 となり
=262.500(m2)
よって上の図の面積は262.500m2ということになります。
※ また面積はA(m2)で表すのが一般的です。
「三斜求積」の考え方と計算方法
先ほどは敷地を「台形」として計算しましたが、一見、台形に見える形状に見えても
「実際は台形とは限らない」のがポイントです。
仮に敷地の形状が台形ではなかった場合、先ほどの計算結果には誤りがあるかもしれません。

図面を見ただけで、何となく形状を決めつけてはいけません。
きちんと実際の寸法を測定することで、正しい形状を把握することが重要です。
高い精度が求められる「測量」では「角度と距離」がとても重要で
角度は度・分・秒の単位まで、座標の要素を使って行われます。
先ほどまで使っていた図に、いくつか数値や番号を追加しました。

厳密には、①と②の三角形を、さらに直角三角形が作れるようになるまで分割して、誰でもすぐに計算できるように、分かりやすくする必要があります。

上の図では、21.213mの辺から、左右の角に向かって垂直の角度で交わった位置で分割し、合計4つの三角形の合計が、この図形の総面積になります。
今回の例では、台形に近い形状の敷地を、斜めにカットして2つの三角形として計算します。
このように、測定する部分を三角形の形状に分けることを「三斜を切る」といいます。
三角形は3つの辺の長さが分かれば面積を割り出すことができる計算があり
その計算方法を「ヘロンの公式」と呼びます。

この公式の便利なところは、3辺の長さが分かっていれば、三角形の面積が計算できるところです。
まずはヘロンの公式を使って三角形の面積を計算してみる

まずは簡単な例で、ヘロンの公式で求められる数値が合っているのか確認してみましょう。
まず、この図形を「直角三角形」として面積を計算したときに
「底辺×高さ÷2」で計算できますので
面積A=4×3÷2
=6
となりました。(単位は省略)

これは、三角形が直角三角形だと仮定した場合です。
三角形の面積=(底辺×高さ)÷2
次に「ヘロンの公式」を使って、同じ図形の面積を計算してみます。
ヘロンの公式は、以下のようになります。
上の公式のうち、面積を表すSは、大きいSと小さいsがあるので注意が必要です。
ヘロンの公式の計算は「ただし」書きがついている部分、先にsを計算する必要があります。
先ほどの直角三角形を使いますが
a=4 b=3 c=5 の数値を使って、s(スモール)を計算します。
s=(4+3+5)÷2
=6
となります。

ここで、s(スモールS)は6になっていますが
ヘロンの公式は、そのsを使ってさらに詳しく計算します。
割り出したsを使って
S=√s((s-a)(s-b)(s-c))の公式に当てはめると
=√6((6-4)(6-3)(6-5))
=√6(2×3×1)
=√36
=6
となります(sとSの値が同じなのは気にしなくてOKです)

先ほど『直角三角形』として計算した値と同じになりました。
つまり、この三角形は直角三角形です。
このように三角形は「3つの辺の長さが分かれば、面積を計算することができます。
おまけ:ピタゴラスの定理を簡単な図で理解する
なお、直角三角形は「ピタゴラスの定理」を使って辺の長さを求めることができます。


2乗やルート(√)の計算が必要ですね。
上の図と計算を、目でも分かりやすいように図解すると


各辺の長さをマスに見立てることで、どんな計算が行われているのかが分かりやすくなりますね。

辺の長さが、3・4・5のように割り切れる数字であれば
積み木やブロックのようなものを並べても答えを導き出せます。
ここで改めて最初の敷地をヘロンの公式を使って再計算してみましょう
ここからは、ちょっとしたおまけです。
先ほどの「三斜を切った敷地」の面積を
ヘロンの公式を使って確認してみましょう。
ちなみに、台形として計算した場合の面積は262.500m2でした。

ヘロンの公式をエクセルで計算します
先ほどの3・4・5の直角三角形のように単純な数値であれば
電卓を使って計算するのは難しくありませんが
数値が複雑だったり、計算する数が多い場合「エクセルに数式を入れてしまった方が楽です」
一度計算式を入力してしまえば、作業が捗ります。

建設工事では、面積計算に用いた方法を記録に残しておくことが重要ですが、専門的な計算ソフトを使わずにエクセルだけで複雑な計算と記録ができます。

セルのC,D,Eの列には、それぞれ辺a、辺b、辺cの数値を入力するセルとします。
(この例では4行目からになります。)
セルF4は、sを計算するセル
セルG4は、最終的な面積Sを計算するセルとします。
セルC4,D4,E4にそれぞれ数値を入力した際に、F4,G5は自動的に計算されるようにします。
まずF4のセルに計算式を入力します。
=+(C4+D4+E4)/2
次にG4のセルにも計算式を入力します。
=+SQRT(F4*(F4-C4)*(F4-D4)*(E4-E4))
試しにC4,D4,E4のセルに3,4,5をそれぞれ入力して
sとSが6になれば正解です。

ちょっと説明が長いですが、必要な計算式は2つだけです。


各辺の長さを、辺a、辺b、辺cのセルに入力した結果です。
三角形の数は、行を追加していくらでも増やすことができますので、ぜひお試しください。
今度は敷地面積を三斜で切った数値を代入してみます。
①と②の三角形の数値を、それぞれ入力していきます。
エクセルが出した答えは①の三角形は149.996、②の三角形は112.500
①と②の合計は262.496(m2)でした。
台形の計算結果は262.500でしたので、答えはほぼ同じです。
(小数点以下の数値や切り捨てなどが0.004m2の誤差になっており
ヘロンの公式は、僅かに面積が小さくなることもあります)
この記事で使用したエクセルシートのデータは上のボタンからダウンロードできます。
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