住宅内装の劣化が進むとどうなる?
住宅の内装は、見た目だけでなく住環境全体に大きな影響を与えます。劣化を放置すると生活の質が低下するだけでなく、リフォーム費用がかさむ可能性もあるため、早めの対策が重要です。
内装の劣化が招く主な影響
内装の劣化が進むと、住環境にさまざまな問題が生じます。特に、以下のような影響には注意が必要です。
- 快適性の低下(見た目の悪化・住み心地の悪化)
- 健康への影響(カビ・ダニの発生、有害物質によるシックハウス症候群):健康被害
- 安全リスクの増加(転倒事故、耐震性の低下、火災リスク)

この記事では、内装の劣化による影響として
この3項目について解説しています。
劣化がもたらす「快適性」への影響
内装の劣化が進むと、見た目の問題だけでなく、住み心地にも大きな影響を及ぼします。
例えば、壁紙や床材の剥がれ・汚れは部屋の印象を損なうだけでなく、生活の満足度を下げる要因となり、さらに窓や壁に結露が発生すると、カビの繁殖を促す悪循環は、健康リスクにもつながります。
また、床の軋みやたわみがあると、歩くたびにストレスを感じるだけでなく、木材の腐食や建材の劣化が進行しやすくなります。傷んだ木材はカビやダニが発生しやすい環境になり、アレルギーや喘息などの健康被害を引き起こす可能性もあります。
さらに、ドアや窓の開閉がスムーズにできなくなると、風通しが悪くなり、室内の空気の循環が滞ります。その結果、湿気がこもりやすくなり、カビの発生リスクが高まります。また、窓の気密性が低下すると、冷暖房の効率が悪くなり、光熱費の増加につながるため、経済的な負担も増えてしまいます。
このように、内装の劣化は住環境全体にさまざまな悪影響を与えるため、定期的な点検と早めの対策が重要です。

住居の快適性が損なわれると、健康や安全性にも悪影響を及ぼす可能性があり、悪循環につながります。
内装の劣化がもたらす「健康」への影響
カビ・ダニの発生(アレルギーや喘息の原因)

湿気が多い日本では、カビやダニが発生しやすく、放置すると住環境の悪化につながります。
- カビ は、家具、壁、浴室、窓などの湿気がこもりやすい場所に発生し、黒ずみや異臭の原因にもなります。
- ダニ は、布団やカーペット、ソファなど、人が長時間触れる場所に潜み、繁殖しやすい特徴があります。
これらが室内に増えると、皮膚に触れたり、空気中に舞った微細な粒子を吸い込むことで、以下の健康リスクを引き起こす可能性があります。
カビやダニによる症状は?
✅ 皮膚炎(かゆみ・湿疹・かぶれ)
✅ アレルギー性鼻炎(くしゃみ・鼻水・鼻づまり)
✅ 喘息(咳・呼吸困難・ゼーゼー音)
✅ 感染症(カビが原因の肺炎やダニによるアレルギー)
対策として、こまめな清掃や湿度管理が重要です。
特に、室内の湿度を40~60%に保つことで、カビやダニの繁殖を抑えることができます。除湿機や換気扇を活用し、浴室や寝具の定期的な乾燥・掃除を心がけましょう。
古い壁紙や塗料からの有害物質(ホルムアルデヒドなど)

住宅の内装に使用される壁紙や塗料の中には、経年劣化により有害物質が揮発し、室内の空気を汚染するものがあります。その代表例が ホルムアルデヒド です。
ホルムアルデヒドとは?
ホルムアルデヒドは、刺激の強い揮発性の化学物質で、新築住宅やリフォーム後の建物で特に濃度が高くなる傾向があります。室内に充満すると、 シックハウス症候群 の原因となり、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

室内に入ると目や鼻にツンと違和感を感じる
長く居ると具合が悪くなるなど
ホルムアルデヒドの主な発生源
ホルムアルデヒドは、以下のような建材や家具、日用品に含まれていることがあります。
- 接着剤、防腐剤、塗料などの化学製品
- 合成樹脂を使用した建材(合板・フローリング・ボードなど)
- 衣類やカーペットなどの繊維製品
- 殺虫剤や防虫剤(防蟻剤)
室内の有害物質による健康リスク
ホルムアルデヒドが室内に充満すると、以下のような症状を引き起こす可能性があります。
- 目の刺激(目がチカチカする)
- 頭痛
- 息苦しさ などの体調不良
特に、小さな子どもや高齢者、アレルギーを持つ人は影響を受けやすいため注意が必要です。
室内の有害物質への対策
ホルムアルデヒドの影響を抑えるためには、以下の対策が有効です。
- 定期的な換気 を行い、室内の空気を入れ替える(特に新築やリフォーム直後は重要)
- 家具や建材の選定 に注意し、低ホルムアルデヒド仕様の製品を選ぶ
- 専門業者による濃度測定 を実施し、必要に応じて適切な対策を講じる
ホルムアルデヒドの室内濃度については、厚生労働省の指針で 0.08ppm以下が望ましい とされています。目に見えない物質のため、 違和感を感じたら専門業者に相談する ことも重要です。
換気不良による湿気のこもり
室内の空気循環が悪くなると、湿気がこもりやすくなり、カビやダニの発生リスクが高まります。特に、湿度が高い環境では、カビが繁殖しやすくなり、ダニも増えるため、アレルギーや呼吸器系の問題を引き起こす原因となります。
また、換気が不十分だと、室内に有害物質が溜まり、体調不良を引き起こす可能性もあります。これらの物質には、ホルムアルデヒドやVOC(揮発性有機化合物)などが含まれ、これらが長期間室内に滞留すると、頭痛や目のかゆみ、倦怠感などの症状が現れることがあります。換気を適切に行うことで、湿気や有害物質の蓄積を防ぎ、健康的な室内環境を保つことが大切です。
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劣化がもたらす「安全性」への影響
ひび割れや剥がれた床材による転倒リスク
床材の劣化やひび割れは、歩行中に足を引っかけて転倒する原因になります。特に高齢者や小さなお子様がいる家庭では注意が必要です。
階段や手すりの老朽化 → 高齢者の転倒リスクが上昇
階段や手すりが老朽化すると、転倒の危険性が大幅に増加します。高齢者の場合、転倒による骨折や深刻なケガにつながることがあるため、早期の点検が大切です。
耐震性の低下 → 壁や天井の強度が落ち、地震時の危険性が高まる
時間の経過とともに、住宅の耐震性は徐々に低下します。壁や天井のひび割れが進むと、地震時に崩壊のリスクが高まります。特に古い住宅では、耐震診断を受けることが推奨されます。
古い電気配線の断線やショート → 火災リスクが増加
古くなった電気配線は、断線やショートの原因となり、最悪の場合、火災を引き起こす可能性があります。定期的な点検と必要に応じた修理を行うことが安全性を守る鍵です。

建物内装以外にも、外構・カーポート・物入れなどの劣化や壊れたまま放置しないように気を付けてください。
住宅内装の劣化を防ぐためのチェックポイントと対策
自分でできるチェックポイントと対策
発生源の除去が重要 → 湿度や換気の管理、定期的な清掃
湿気やカビの原因となる発生源を取り除くことが大切です。湿度を適切に管理し、換気をこまめに行うことで、カビやダニの繁殖を防ぐことができます。また、定期的な清掃を通じて、汚れやホコリの蓄積を防ぎましょう。
点検すべき箇所リスト → 壁、床、天井、換気設備、水回りなど
壁や床、天井にひび割れや剥がれがないか、換気設備が正常に機能しているか、水回りに漏水がないかなど、家の各部を定期的にチェックしましょう。
専門業者に相談する目安
リフォームや修繕が必要か判断 → ひどい劣化は放置せず、早めの対応を
目に見える劣化が進んでいる場合や、修理が困難な場合は、専門業者に相談してリフォームや修繕を検討しましょう。早期に対応することで、後々大きな費用を抑えることができます。
コストを抑えるメンテナンスのコツ → 現状をしっかり伝え、複数の業者から見積もりを取る
リフォームや修繕を依頼する際は、業者に現状を正確に伝え、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。比較することで、コストを抑えることができます。
まとめ:快適な住環境を維持するために
住宅内装の劣化は、快適性・健康・安全性に大きく影響を与えます。定期的な点検と適切なリフォームを行うことで、快適な住環境を維持し、長期的なコスト削減にもつながります。早めの対策を心がけ、安心して暮らせる住まいを維持しましょう。