建設工事で使われる「共通仕様書」や「特記仕様書」、「設計図面」という言葉。どれも重要な役割を果たしますが、「どれを優先すればいいのか?」 迷うことはありませんか?
本記事では、これらの契約図書の役割や優先順位、現場で活用するためのポイントを、わかりやすく解説します。
契約図書の優先順位とは?
建設工事における契約図書には、それぞれの役割と明確な優先順位があります。
優先順位の基本ルール

- 契約図面
- 特記仕様書
- 共通仕様書
たとえば、契約図面に記載された内容と特記仕様書が矛盾(実際の現場との不一致)する場合、契約図面を優先します。このルールに従うことで、工事の正確性が担保されます。

つまり、契約図面(当初設計・原設計)と特記仕様書の内容を確認し、現地との不一致や拾い落としなどがないかチェックする必要があります。
共通仕様書・特記仕様書・設計図面の役割
共通仕様書とは?
共通仕様書は、工事の基本的な方法や契約内容を示したもの。公共工事や河川工事、ダム工事などの広い分野で適用されます。
共通仕様書は、「工事全般で共通する基準」 を定めていますが、工事ごとに異なる細かい内容は特記仕様書で補足されます。
特記仕様書とは?
特記仕様書は、特定の工事に特化した条件や規定を記載したもので、共通仕様書よりも具体的で、設計内容や使用する材料の詳細などが含まれています。
設計図面とは?
設計図面は、建設現場で施工を進める際に最も重要となる資料です。建物や構造物の形状や寸法、規格や工事方法が示されています。

図面が間違っているから、現場もその通り間違ったやり方をしました・・では通用しません。責任問題です。
現場での実践:現地調査と仕様書チェック
建設工事の現場では、契約図書だけを理解するだけでは不十分です。
現地調査や事前調査を通じて、図面や仕様書と現場の状況が一致しているかを確認する ことが不可欠です。
現地調査の実施
現場でのトラブルを防ぐには、以下の点を事前に確認しましょう。
- 地形や障害物が図面と一致しているか
- 設計図に記載された施工方法や条件が実現可能か
- 数量計算書などのチェック

現地調査を行った記録は、提出の義務はありませんが
いつでも提出できるように【バックデータ】を残すことが重要
特記仕様書・共通仕様書の整合性を確認
特記仕様書や共通仕様書の内容をよく読み、疑問点や不整合があれば、早急に報告・解決することが重要です。
打合書(報告書・協議書など)に合わせて、写真や図面などのバックデータを添付します。

バックデータは、修正や変更の根拠になります。
成長につながる経験:現場で得られるスキル
現地調査や設計図書のチェックは、ただの作業ではありません。これらを正確に行うことによって以下のようなメリットがあります。
- トラブル防止
設計と現場の相違を早期に発見して対応できれば、工期遅延やコスト超過を防げます。 - 品質確保と安全性の向上
仕様書や図面の内容を担当者や設計者に適切に報告することで、品質確保や安全に役立ちます。
共通仕様書・特記仕様書・設計図面のポイントのまとめ
本記事では、共通仕様書・特記仕様書・設計図面の基礎から、現場での活用方法などのポイントを解説しました。
重要ポイント
- 契約図書の優先順位を理解し、現場で正確に運用する
- 仕様書と現場の相違をチェックし、トラブルを未然に防ぐことができる
- 現地調査(事前調査)などのデータは、バックアップや修正・変更の根拠になります
共通仕様書を正しく理解することで、建設業界での信頼と効率を高められます。これを機に、日々の業務に役立ててください!