施工体制台帳作成の必要性と添付書類
建設工事を円滑に進めるには、計画、品質管理、安全確保などの体制を整えることが重要です。
その鍵となるのが『施工体制台帳』です。この記事では工事の計画から進捗管理、品質保証、安全対策まで、すべてを総合的に管理するために重要です。
また、元請けから安全書類の提出を求められたときに、どんな書類が必要なのか良く分からない場合でも、この記事では分かりやすく紹介していますので、お役立てください。

はじめまして。このサイトを運営しているMコンです。
建設業界に携わり、現場管理やIT活用を中心に実績を積んできました。
この記事では、私がこれまでの経験から学んだ知識を元に、具体的な事例と共に解説しています。少しでも皆さまの役に立つ情報を提供できれば幸いです。
施工体制台帳とは
施工体制台帳は、建設工事に関わる元請けや下請業者の情報や担当工事の関連性をまとめた書類です。
施工体制台帳をひとつにまとめた書類は、安全書類(グリーンファイル)と呼ばれており
施工体制台帳の作成は建設業法第24条の8によって義務付けられており、書類のとりまとめや作成は元請け業者が行います。
施工体制台帳を作成する必要性・目的
施工体制台帳を作成する必要性や目的は以下の通りです。
1.建設工事を安全に行うため
2.工事目的物の品質確保
3.建設工事の工程管理
4.建設現場に入場する業者の不良や不適格を選定
5.建設業法違反の発生防止(一括下請の禁止など)
6.安易な重層下請による生産性低下を防止する
7.担当工事・工事責任者(現場代理人・主任技術者など)の把握
8.下請け業者の工事範囲(施工範囲)や請負金額・工事の期間・その他の条件などの記録確認
9.公共工事入札契約が適正に行われているか
などがあります。
施工体制台帳作成に該当する工事
発注者から請け負った工事が、公共工事に下請けが含まれる場合は下請金額にかかわらず、施工体制台帳を作成し発注者に提出する義務があります。
民間工事では、施工体制台帳の提出や閲覧を求められた場合、発注者に書類を見せる必要があります。
また、施工体制台帳に記載する業者は、あくまでも建設工事の請負契約を締結した業種のため、発注者から記載を求められないかぎり、建設現場の測量業務委託や交通誘導・現場パトロール、建設資材購入や運搬業務などに関わる契約については記載の必要はありません。
施工体制台帳作成が必要な場合
1.元請けが公共工事を直接請け負った建設工事に下請け業者が含まれる場合
2.民間工事で、直接請け負った建設工事費のうち、下請け業者との契約額の総額が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上となる場合
施工体制台帳の掲示と保存義務
建設工事が行われている間は建設工事現場に常時備え付けておく必要があります。
近年、公共工事では下請けの施工体制点検が重点的にチェックされるようになり、発注者から施工体制台帳の確認や書類の閲覧を求められることがあります。施工体制台帳は常に最新の状態でファイリングしておくことをお勧めします。
また、施工体制台帳の書類保存義務は、建設工事完了後(引渡し)、5年または10年の保存義務があります。
施工体制台帳に添付する書類
施工体制台帳を作成する際に、添付が必要な書類や準備しておく書類は以下の通りです。
元請け業者が作成する書類に加え、下請け業者が提出した安全書類をとりまとめ、保管・提出を行います。
また、発注者に書類を提出する場合、原本は保存し「写し」を提出します。
元請負人が準備する書類一覧
・建設業許可の内容(一般または特定建設業許可指令書)
・健康保険・雇用保険・労働保険の加入状況
・工事の契約書(発注者名・発注者の監督職員名・請負金額・契約年月日・請負工期など)
・現場代理人・監理技術者・専門技術者(必要に応じて)
・配置技術者の資格を証明する書類や会社との雇用関係を証明する書類など(資格証明書や健康保険証など)
・外国人技能実習生及び外国人建設就労者の従事状況
・作業員名簿
・下請け業者と交わした見積依頼書や注文書・契約書(注文・請書、基本契約書または基本契約約款など)
下請負人が準備する書類一覧(元請業者に提出する)
下請け業者として工事を行う場合、以下の書類を作成し、元請け業者に提出する必要があります。
・元請け業者に提出した見積書・請書(または注文請書)内訳書など
・建設業許可の内容(一般または特定建設業許可指令書)
・健康保険・雇用保険・労働保険の加入状況
・工事の契約書(元請けから請け負った工事内容・請負金額・契約年月日・請負工期など)
・現場代理人・監理技術者・専門技術者(必要に応じて)
・配置技術者の資格を証明する書類や会社との雇用関係を証明する書類など(資格証明書や健康保険証など)
・外国人技能実習生及び外国人建設就労者の従事状況
・作業員名簿
施工体制台帳作成の範囲
施工体制台帳を作成する範囲は、一次下請けのみではなく、二次下請け・三次下請など、それ以降の下請け業者も含まれます。
また下請け業者が建設業の許可を保有していなくても、建設工事の契約に係っている場合は、施工体制台帳に記載する必要があります。
施工体系図の作成
元請け業者は施工体制台帳の作成に伴い、施工体系図を作成し、下請け工事の契約や変更のあったときには、速やかに更新する必要があります。
また、施工体系図は建設工事現場の見やすい位置に掲示することが求められており、工事関係者のみならず公衆が見やすい場所に掲示するのが一般的です。
工事現場事務所まわりの安全掲示板や仮囲い・現場出入口などに掲示する場合が多く、施工体系図を開示した付近に、記載されている各業者ごとの建設業の許可票も一緒に掲示しておくといいでしょう。