コンクリート構造物の品質管理:シュミットハンマーを用いた非破壊試験

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建設現場では、コンクリート構造物の強度を適切に管理することが必須です。ここでは、シュミットハンマーを用いた非破壊試験の実務的ポイントや注意事項を詳しく解説します。

コンクリートの強度とは

    コンクリートには設計強度(例:16N/mm²、24N/mm²)があり、構造物の用途や耐久性に応じて使い分けられます。

    コンクリートの強度は打設後28日で基本的な硬化が完了しますが、環境条件(温度・湿度・養生状態)によって硬化速度は変化します。

    現場では、1週強度(7日目)、2週強度(14日目)を測定し、28日後の強度を推定することが一般的です。

    シュミットハンマーによる非破壊試験の基本

      シュミットハンマーは、コンクリート表面に打撃を加え、その反発値から強度を推定する器具です。

      コンクリートの一部を破壊せずに測定できるため、構造物の安全性を損なうことなく品質管理が可能です。

      試験対象は、壁厚10cm以上のコンクリートが原則。薄い箇所や表面の仕上げ材には使用できません。

      試験方法の具体例

        試験点の設定

        3〜4.5cm四方のマス目を設定し、最近は15点測定するケースが多い(5×3など)。
        ※15点中10点を採用、12点を採用するなど、計算方法は若干異なります。

        測定値の最も低い値と最も高い値のうち、いくつか(同数)除外して
        合計値を点数で割るだけです。

        マーキングと測定

        ハンマーを垂直に当てて打撃。角度や位置によって計算式が異なるため、垂直に当てるようにする。

        データの処理

        各点の反発値を記録し、平均値を算出。必要に応じて補正計算を行い、推定強度を算出。

        シュミットハンマーによる試験要領は
        埼玉県で公開しているPDFが一般的な内容で分かりやすいです。
        換算表に、打撃角度や圧縮強度の一覧が記載されています。

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        記録式のシュミットハンマーでの品質管理を要求される場合もありますね。

        測定時の注意点(強度が低く出る場合)

        コンクリート表面のモルタル、粉、レイタンス、水分がある箇所は正確な測定ができません。

        塗り壁や目地部分・木コンはコンクリートではないため、反発値は出ません。

        表面は乾燥させ、清掃してから測定することが推奨されます。

        コンクリートとモルタルは似て見えるかもしれませんが
        モルタルに骨材は含まれていません。
        もちろん「レベラー」や「吹付け」はコンクリートではありませんので、シュミットハンマーを当てると壊れます。

        測定時の注意点(強度が高く出る場合)

        内部鉄筋や大きな骨材に近い位置で測定すると、実際より高い値が出ることがあります。

        試験位置を少しずらす、複数点で測定することで、より正確な平均値を得られます。

        工事完成後は、コンクリート打設から28日以上経過していることが多いため、設計強度よりやや高い値が出やすいです。
        完成検査時に検査官から「なぜ高いのか」質問されたときに慌てないよう、打設日と材齢が分かるようにしておくといいですね。

        実務上のポイント(コンクリートの推定強度や品質管理に)

        28日後の所定強度を確認する前に、7日・14日測定で推定強度を確認することで、早期の問題発見が可能です。

        シュミットハンマーは「反発値」を測るため、コンクリート成分や仕上げ条件によって差が出ます。測定条件の統一が重要です。

        必要に応じて、圧縮試験やその他の非破壊試験(空気量・塩化物含有量・温度測定)と組み合わせると、より確実な品質管理が可能です。

        コンクリートの材齢(打設後の日数)は
        σ7・・7日後
        σ28・・・28日後
        で表します。(σ:シグマ)

        まとめ:シュミットハンマーによる非破壊試験で強度を測定

        シュミットハンマーは現場で簡単にコンクリート強度の推定ができる便利なツールです。

        しかし、表面状態や試験位置、環境条件によって数値が変動するため、注意深く測定する必要があります。

        推定強度をもとに、施工中の調整や養生管理に活用することで、安全で耐久性のある構造物の施工が可能になります。

        💡 補足

        コンクリートは28日後も強度がじわじわ伸びるため、長期的にはさらに耐久性が向上します。

        シュミットハンマーの測定値はあくまで「推定強度」であり、実際の圧縮強度試験と組み合わせることが推奨されます。

        ワンポイント解説:なぜコンクリートは水中でも固まるの?

        コンクリートが固まるには「乾かす」ことが普通だと感じてしまうかもしれませんが、コンクリートは水の中でも材料が分離しなければ固まります。

        コンクリートが固まるのは「乾く」からではなく、セメントと水が化学反応(=水和反応)を起こすためです。
        この反応によって内部に結晶構造が形成され、空気に触れなくても硬化が進みます。
        そのため、水中でもしっかりと固まり、構造物としての強度を発揮できるのです。

        コンクリート硬化時には、急激な温度変化や水分の蒸発によって
        伸縮・ひび割れが生じないように、水をかけてゆっくり反応させると
        強度が得られます。

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