境界がはっきりしないまま工事を進めると、思わぬ近隣トラブルに発展することがあります。
筆者もこれまでに多くの外構工事(フェンス・塀・駐車場・植木など)を行ってきましたが、その中で実際に「境界の食い違い」によって工事を一時中断せざるを得なかったことがありました。
原則として、境界を決めるのは地権者同士の同意があってこそ。工事業者が勝手に判断して境界を動かすことはできません。つまり、施主にとっても施工業者にとっても「境界の確認」は工事をスムーズに進めるための大事なポイントになります。

工事を依頼する時点で公図や地積測量図の確認
近隣との話し合いまで済ませておけば、工事施工業者は「この依頼主はしっかりしているなあ」と安心するはずです。
公図や地積測量図の数値は現地とぴったりにならないのはなぜ?
「図面を見れば一発で正確に分かるはず」と思われがちですが、実際には公図や地積測量図の数値と現地の境界が数センチずれていることは珍しくありません。
その理由は、もともと作られた時代の測量方法にあります。昔は巻き尺などを使った簡易的な測量で作図されており、現在のような精密な座標システムは使われていませんでした。さらに電子化の際に、地域ごとの原図をあてはめて調整しているため、どうしても誤差が生じるのです。
例えば幅10.55mの敷地があっても、図面上では10.50mや10.55mと丸められて記載されていることがあります。こうした「数センチのずれ」が、境界線をめぐるトラブルのきっかけになることもあるのです。
施工業者は図面をもとに境界を復元できますが「目安」の理由
消えてしまった境界を図面から復元することは可能ですが、それも全体的な誤差の範囲で収めながら調整していく作業になります。場合によっては、現地の杭の位置が少しずつずれていることを一つひとつ確認しなければ、納得してもらえないケースもあります。
そのため、施工業者側も境界に関する基本的な知識や説明力を持っていないと、工事が進まない場面が出てきます。境界をめぐるトラブルは「図面通りにやればいい」と単純に済むものではなく、理解と合意形成の積み重ねが大切なのです。

補足ですが、安価な巻き尺(JIS1級以外の)は気温や引っ張る力によって長さが変化するのでお勧めできません。
なお再三しつこい繰り返しになりますが・・・境界の位置を最終的に決めるのは地権者同士、もしくは公図や地積測量図などをベースに土地家屋調査士がまとめたものを合意する必要があります。
よくある境界トラブルの事例
- 親の代で決めた口約束が基準になっている
→ 時が経つと記憶が曖昧になり、証拠も残っていない。 - 境界杭が埋まった・失われた・破損した
→ 駐車場舗装や庭工事で見えなくなり、正しい位置が不明に。 - 杭が曲がったり移動している
→ 車の出入りや土木工事で杭が物理的にずれる。 - 植木や塀を基準にしていた
→ 木が枯れたり塀を建て替えたりで基準が消える。
→木が成長してどちらかに傾いている、葉っぱで中心が分からない
→既存の水路を基準にしていた。
工事業者の立場:境界が特定できなければ工事をいったん中止する
- 業者は境界を決定する権限がない。
- 境界が争われた場合は、工事を止めざるを得ない。
- トラブルに巻き込まれるのを防ぐために、確認と記録が不可欠。

確認と打合せ内容が変わった場合、こう言いましたよね?
・・も大事ですが、どんな理由で・今後どう工事を進めるか
内容を整理しながら対応して下さい。
変更によって費用や時間の追加が必要であれば、別途協議です。
正しい確認手順(主に依頼主)
- ① 公図・地積測量図を用意して確認する
- ② 施主と隣地所有者に立ち会ってもらい、境界を確認(写真撮影、地権者同意のサインなどを保管)
- ③ 境界の合意内容を写真や書面に残す(後日のトラブル防止)
- ④ 必要に応じて土地家屋調査士に相談し、境界確定測量を依頼する
上記の確認資料と、現場の説明があれば施工業者は全体像を把握しやすいです。
無駄な費用を防ぐためのポイント(依頼主・施工業者)
- 工事を始める前に不安があれば必ず確認を。
- 何を設置したいのか、大きさや長さはどれくらいを想定しているか
- 冬期間に雪が降る場合、どうなるのか
- 車の侵入や通行に影響はないか
- 境界をはっきりさせておくことで、工事中断や追加費用を避けられる。
- 土地家屋調査士に依頼する費用と期間はどれくらいか
- 施工業者に責任を押し付けず、地権者同士での合意が何より重要。

途中で資材や工法が変わった場合、予算内で解消できるものもあれば
準備してしまった資材キャンセルが間に合わない場合もあります、
境界をあいまいにせず、損やイライラのない工事を!
せっかく外構や境界を整備しても、隣家とのトラブルでストレスを抱えてしまっては台無しです。片方だけが得をして、相手が何も言えないような状況になってしまうのも避けたいところです。
境界があいまいな土地は決して珍しくありません。だからこそ、隣家との話し合いや同意を得ることがとても大切です。
また、事前に確認して記録を残しておくことは、依頼主・関係者・施工業者すべてにとって工事をスムーズに進めるための近道となります。
さらに、専門家に相談すれば費用はかかりますが、後々のトラブルを防ぐ大きな安心につながります。どう折り合いをつけたのかが記録に残ることも重要なポイントです。

