公共工事の事前調査書類を作成する際、つい「書類さえ整えれば大丈夫」と思い、図面をざっと眺めたり現地確認を省略してしまうことはありませんか?
「ここは大丈夫そうだから、細かく調べなくてもいい」
「提出期限があるから、とりあえずレ点だけ入れておこう」
こうした心理やクセは、忙しい現場や慣れた業務の中で誰もが陥りがちです。しかし、適当に済ませてしまうと、後で想定外の問題に直面したとき、書類上の「確認済み」が足かせとなり、工事の進行や安全に大きな影響を与えることになります。
そもそも事前調査の書類って、何のために作るのでしょうか?
単に提出すれば評価が上がる形式的なもの…と思いがちですが、実は現場で施工する側を守るための重要なステップでもあります。
事前に図面や現場を確認し、問題点や疑問を記録して関係者と共有することで、想定外のトラブルを避け、安全かつスムーズに工事を進められるのです。
事前調査に時間をかけない・根拠のない調査結果へのリスク
公共工事を受注した際、事前調査の書類をまとめて提出することは必須です。
しかし「書類さえ出せば大丈夫」という考え方は非常に危険です。
事前調査は、評価点を得たり総合評価につなげるための形式ではなく、 現場のリスクを事前に把握し、問題を未然に防ぐための実務作業 です。
想定外のトラブルを防ぐために
- 事前調査のチェック項目にレ点を入れるだけ
- 書類提出のためだけに軽く確認する
これでは、実際に工事を進めた際に想定外の事態が発生した場合に対応できません。
調査不足が発覚すれば、「事前調査は行ったはず」という書類上の事実が裏目に出ます。
書類提出=安心ではない理由
事前調査で「問題なし」と報告してしまうと、後から工事の延期や中止が必要になった場合でも対応が難しくなります。
- 当初の設計や事前調査の結果を踏まえて工事計画が進む
- 途中で「やってみたら違いました」と言っても通用しない
つまり、書類に記載された内容こそが 現場の責任範囲 になってしまうのです。
工事の入札前には積算で工事内容を把握し、入札後には図面や現地の状況を調査しているはずです。さらに施工計画書で具体的な作業予定も立てています。それでも「やってみたら違いました」となれば、担当者からすれば「そもそも十分に確認していなかったのでは?」と思われても仕方ありません。
実務での対応ポイント
- レ点だけで済ませず、現場で必ず確認する
- 疑問点や不明な部分は写真やメモで記録
- 必要に応じて関係者(設計者・行政・近隣)に確認
- チェックリストを活用して漏れを防ぐ
こうした地道な対応が、後々のトラブルや工事の遅延を防ぎます。
本質的な現地調査とは
図面や現場の調査を行う際には、ただ形だけ確認するのではなく、疑問に感じた点や不都合が生じそうな箇所、現地の状況と図面が明らかに合わない部分、交通や周囲への影響が予想される箇所などを注意深くチェックすることが重要です。
これらの情報は、手書きのメモや写真でもかまわないため、必ず記録として残しておくことが大切です。こうした記録は、後で関係者に確認を取ったり意思決定の根拠として活用でき、単なる「調査済み」の証明にとどまらず、本質的な現地調査の証拠となります。
記録がきちんと残っているかどうかこそ、現地調査の質を示す指標であり、工事の安全性や円滑な進行、リスク回避に直結します
本質的な現地調査と事前調査の5ステップ
工事前の調査は、ただ図面や現場を確認するだけではなく、想定外のトラブルを防ぐための重要なプロセスです。以下のステップを意識すると、単なる形式的な作業ではなく、本質的な現地調査になります。
入札前に作成した積算や計画資料を再確認(積算根拠が合っていない場合もあります)
図面上の寸法や配置が現地と合致しているかチェック(座標系の確認→現地ではどうなのか)
現地に行き、実際の状況を確認(季節や時間帯によって異なる場合も)
交通や周囲の環境、施工に影響を与える要素をチェック(工事を行ううえで支障となる要素は?)
メモや写真で記録し、曖昧な箇所や不一致を明確化(確認した日付が記録に残るように)
後で関係者と確認できるようバックデータとして残す
記録をもとに担当者や施工チームと確認(設計通りできるのか、見落としはないか)
調査結果に基づいて必要な調整や計画変更を検討
単にチェックしただけでなく、実施内容と確認事項を整理して書類化→協議・報告・提出
これらの内容を踏まえて「指示」や「変更」の流れが一般的です。
まとめ
事前調査は形式的な作業ではなく、 現場を安全に進めるための情報収集 です。
提出書類だけに安心せず、現場確認や記録を丁寧に行うことが、プロとしての信頼につながります。


