土工事の掘削作業では、地下水や雨水が掘削した穴に溜まらないように排水作業を行います。
この時に最も一般的に使用されるのが「水中ポンプ」です。建設現場では、4インチ(吋)の水中ポンプが多く採用されています。
※河川工事など、より大規模な現場ではさらに大きな口径のポンプが使用されます。

積算・歩掛りでは、排水工「作業時排水」に用いられますね。
作業時排水とは?―その工事に必要な時間帯だけ行う排水作業
建設現場では、掘削箇所や基礎周りに地下水・雨水が溜まることがあり、そのままでは作業が進められません。
この 溜まった水を排水し、施工環境を整える工程 を「作業時排水」と呼びます。
積算では、
- 4インチ水中ポンプによる排水量
- 排水に必要な動力(発電機等)
- 排水に伴う仮設(排水路・沈殿槽など)
といった項目が計上され、現場条件によって大きく変動するため注意が必要です。
作業時排水と常時排水の違い
水中ポンプの設置において、よく似ている者に、作業時排水と常時排水という区分があります。
建設現場の積算では、「作業時排水」と「常時排水」は、まったく性質の異なる排水です。
● 作業時排水とは?
- 掘削や基礎工事など、“工事をしている間(時間)だけ”行う排水
- 雨水・湧水が作業の妨げにならないよう、一時的に排水する目的
- 天候や地下水の量によって大きく変動する
- 小型~中型の水中ポンプなどを使い、現場の判断で対応することが多い
👉 「その工事に必要な時間帯だけ行う排水」というイメージ。
● 常時排水とは?
- 工事の期間中“数日間継続して”行う排水設備(※1日24時間)
※例:地下構造物の排水設備、仮締切内部の排水、コンクリート構造物の養生期間中など - 設計で規定され、設備として設置する(1箇所ごと、排水場所を何回移動するかなど)
- 比較的排水量の多い場所でのポンプや配管設置・仮締切工(大型土のう設置)などが含まれる
👉 「該当する工事の期間中(日・月)に行う排水」という位置づけ。
“排水溝”と“窯場(かまば・ポンプピット)”の役割

建設現場で効率よく排水を行うためには、掘削した底面よりさらに深い位置に排水溝や窯場(ポンプピット)を設けることが重要です。
これは、現場に流入した水が自然に低い場所へ集まり、ポンプが確実に吸い上げられる状態を作るためです。
● なぜ仕上がり面より深く掘る必要があるのか
雨水や湧水は“最も低い場所”に集まります。
もし掘削底面と同じ高さにポンプを置くと、水が十分に集まらず、以下のような問題が発生します。
- ポンプが空転しやすい
- 吸水が安定せず排水効率が落ちる
- 水たまりが残り、施工の妨げになる
そこで、底面より 300~600mm 程度下げた排水溝や窯場 を設け、確実に水が集まるポイントを作ります。
4インチって何センチ?
日本ではあまり使われない「インチ」表記ですが、センチメートルに換算するときは 2.54を掛けます。
4インチ × 2.54 = 10.16cm
現場で「4インチってどれくらい?」と聞かれたら、ぜひ物知り顔で「約10.16cmです」と答えてください。
※覚え方:「4インチはトイロ」W
4インチ水中ポンプの吐出し口径は?
答えは 50mm です。
建設現場でよく見かける青いホース(通称:サニーホース)も50mmです。
また、ホースのジョイント代わりとして、単管(JIS規格 φ48.6mm)がホース内部にそのまま差し込むことができます。
※ホースの周囲を番線や専用のクランプで固定するのが一般的です。
【補足】比較:一般家庭の水道管の径は13mm~20mm

ちなみに、一般家庭の水道管の多くは 13mm(屋内管)や20mm(屋外側・メーター側) です。
それと比較すると、4インチ水中ポンプの吐き出し径 50mm は、かなり大きい口径だと分かります。
つまり家庭の水道よりも 一度に運べる水量が圧倒的に多い ため、短時間で大量の排水が可能です。
建設現場で「4インチが標準」と言われる理由は、この排水能力が必要な場面が多いからです。

水中ポンプから吐き出す水の量が、ホースいっぱいの状態だと
凄まじい流量でして、浴槽ほどの水ならすぐになくなります。
水中ポンプの「全揚程」とは?
仕様書に記載されている「全揚程」とは、ポンプが水をどれだけ高い位置にくみ上げできるかを表した数値(m)です。

メーカーカタログなどに記載されている、カーブのかかったグラフが「全揚程」を表しています。
ツルミポンプのレビュー(短評)

- 建設現場でおなじみ&信頼性が高い
- 少量の土砂が混じった水でも吸い上げ可能
- 100Vコンセントで使用できるので特別な動力が不要
- 屋外使用に適している
水中ポンプ設置の“意外な落とし穴”(盗難)
4インチ水中ポンプは、軽量で持ち運びやすくパワーもあるため、建設現場以外にも農業・屋外作業でも便利です。
そのため、現場に設置している新品のポンプとホースが盗まれるケースが非常に多いです。

水中ポンプを誰かが片付けたと思ったら・・・
実は盗まれていたことが判明。
水中ポンプの「ドナドナ」ですね。
掘削作業が数日続く場合は、仮設電源を利用しっぱなしで排水を継続させますが、田舎・山中など人目の少ない場所だと特に盗難が起こりやすくなります。
水中ポンプは3~5万円ほどしますが、盗まれた翌日、穴に水が溜まってしまい排水作業だけで半日潰れることもあります。
水が溜まることで、掘削面が崩壊するなど危険性も増しますので、被害は非常に大きいです。
小さな犯罪だからと放置せず、盗難は必ず通報してください。
そして、盗まれない工夫・対策も現場管理のひとつです。




